愛楯【短編】

□【カウントダウン】
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―――日本人、皆狂ってる。




















「…ンで?」


『こんな寒い、しかも雪降ってる日にさ
初詣ェ〜とか
お参りィ〜とかさァ〜
神様なんざ想像上の物体に向かって
ムンムンと叶いもしないモン願う為に金払ってんだぜ?もうね、救いようがないわ。
「今年も一年イイ年でありますよォに」
って…ただ祈って願って叶うようなら私だって365日願い続けるっつーの。
こんな高望みのゴミ処理所みたいなのが有るから、人間の果てない欲求が尽きないんだっつーの。
まったく…そのせいで来たくもない儀式的なアレに巻き込まれる私みたいな覚醒者の身にも
なってほしいわ、ホント……ハァ』


「…同意したいのは山々だが
神社の行列、最前列に並ぶお前に、ンなこと言える資格は微塵もねェ」


『私の意志じゃない。
人間同士に発せられてる電波的なアレにやられて体が勝手に…』


「おもくそ言い訳だ、バカやろう。」


『……寒いわ、阿含!』


「凍死しろカス、寧ろ今すぐ死ね」


『寒い!つか痛い!
今のジャックナイフな言葉に私の心はフリーズor粉々ァァァ…』


「そのまま砕けて消え去れ」


『ンだよ!何でそんなブリザード神経?
たかが初詣強引に連れてきただけで何でそんな罵倒の言葉責め!?
私はお茶目で攻撃的なSであって、打たれ強いMじゃありません!ガラスの剣なのッ!!』


「知るか、カス!!
爆睡してる所、蹴りやら打撃で叩き起こされた俺には、テメーを気遣う柔らけェ神経は持ち合わせてねーわ!!」


『あァ!立て板に水の如き罵倒の嵐ッ!
ダメ、アナタは私の事を分かってない!
私の心は真綿でくるまれる様な優しさを求めてるの!
そんなヤスリでギチギチ拘束される様な飴と鞭、アメーバほど求めてないわ!』


「テメーに飴は必要ねぇ!!」


『鞭打ちオンリー!?
そんな…せめて金平糖くらいの甘さは』


「テメーには糖分一欠も与えるか!!」


『ぐほっ!
プリーズ、シュガー、リメンバー!!』


「ジョイマンかッ!!!」










「ママぁ〜漫才やってるよ〜」

「シッ!見ちゃいけません!」










『………』

「………」

『……寒いね』

「俺等がな」

『アレ…何でだ?前が霞んで見えない』

「そのまま失明しちまえ、頼むから」

『ヤダ、賽銭箱に金ブチ込むまではッ』

「おもくそ行事に参加してんじゃねーか」

『モーマンタイ。
だって私、元から狂気思想家、』

「離れて歩け。」

『ウソ、ごめん、帰んないで。』










「………」

『………』

「……ズズッ」

『…あ、雪止んだ』

「また積んだろ」

『どうせなら積もるまで降ってほしい』

「あ"ぁ?寒ィしダリィだけだろ」

『チョロチョロ降ってくるくらいなら、積もって遊んだ方がテンション違う』

「気休めか」

『何とでも言え』

「積もったら真っ先に石入り雪玉ブチ当ててやらァ、ありがたく思え」

『甘いな。
どうせなら水付けて凍らせた方が殺傷力、倍増…』

「死ぬわ」

『石でも死ぬからね?』

「死なねーよ。
せいぜい血が出る程度だ」

『テメーは彼女が流血してもイイんか』

「血ィ見ると興奮すんだよなァ…」

『この外道!!』





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