オール短編A
□最遊記序章@
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【 逢イタイ 】
嗚呼、確かに之は罰だ。
こんなにも苦しい
天帝も、よく考えたものだ。
これほど痛いとは
私の罪状と同等のモノ、か…
こんなにも重いのか
嗚呼、確かに之は辛い。
啼く事すら叶わぬとはな…
【 逢イタイ 】
一体どれだけの時が過ぎただろう。
それさえ知れぬのは、悲しい、
あの子は…那吁はどうなったんだ?
悟空は?
奴等の魂は?
何も分からない、
何も知れない事が、
こんなにも苦しいなんて…
今、酷く泣きたいのに
声も、涙さえも一欠すら出てこない
これが、私に科せられた、罰
これが?
こんな“モノ”が…?
【 誰カ… 】
軽い、軽いぞ天帝。
私の罪を、見誤ったか?
それとも之が、天界の“答え”か?
私の罪が、この程度なら、
奴等は何の為に、死んだ…─────
形だけの取り繕われた罰など、要らぬ。
建前だけの見え透いた罰など、要らぬ。
私の罪など…
奴等が死した時に、背負うたわ。
私の罰こそ…
地に足着けて背負う事ぞ言えよう。
天界の見栄を背負う為ではないぞッ!!
【 誰か… 】
外せ、この忌々しい呪縛を、
消せ、我が罪は、我にしか知りえぬ、
解け、貴様ら如きが見定めるな、
貴様等の鎖を、罪とぞ言えるかッ!!
【 誰か、誰か… 】
私は、忘れぬぞ
我が罪
皆が罪
世の罪
私は、刻むぞ
我が想い
皆が想い
世の記憶
彼等の消却されしモノ、全て
私は、憶えよう
闇も光も
許されし時の中を、精一杯
土を踏み締め
風を抱き締め
短き時の中でも、
永き転生の果てでも、
私は、けして忘れるものか。
【 誰か、誰か… 】
皆と見る
桜の約束まで…─────
【 私を… 生かして 】
「生きれば、いいじゃないですか。」
久方ぶりに
モノを捉えた瞳に写り込んだのは、
友に、よく似た
太陽だった…─────
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