オール短編@

□俺はお兄ちゃん!
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変わらない事実に、彼等は声にならない声を上げた。





「☆∞£#※¥≒♭∬ッ!!!」

「ちょ、まてまて、え?何アレ?」

「………こ、子供だな」

「ま、間違いなく…子供だな」

「なんでッ?何で此処に!?」

「誘拐か!?ロリコンか?!」

「「そりゃテメーだ!」」



もう収拾付かないくらいのカオス。
あーだ、こーだ騒ぎ立て、サイズ大の男共が慌てふためく姿は見苦しい。
どーしよ?どーする?どーなるの俺等?!
段々と湿った衣服が乾いて異様な臭いを発する手前の危険な事態。
そろそろ予鈴も鳴るだろう。
兎に角なにかしらの手段を取らなくては、自分達にも有らぬ疑惑を向けられる。

カオスの世界に浸かった若者達の被害妄想は果てしない。

とりあえず起こすか?
でも泣かれたら…
俺あやせねーよ。
ムリムリムリ。
だらしない!男でしょ?!
いや、女のお前がやれよ!
子育て経験皆無!
使えねえ!!
テメー!アヤちゃんに、
喧しい!起きたらどうする!
赤木、声がデカイっ
つか全員うるさい!










「…………なにやってんだ…?」





(桜)「ぅお!?流川ッ!」
(彩)「丁度イイ!生贄!!」

「ハ?」

(三)「流川、お前がどうにかしてくれ!」
(宮)「俺達には荷が重過ぎる!」

「何を………あ。」



彼等に引き摺られるがまま更衣室の前まできた流川は、中の様子を見て声を漏らす。
誰かが反応する前に、彼は室内に入り

何の躊躇いもなく、寝静まる幼女を抱き上げた。





(三)「お、おぉぉ…」
(宮)「スゲ…お前子育て経験あったのか」
(桜)「まさかッ……お前が犯人かァ?!」

(彩)「んな訳ないでしょうが」
(小)「何はともあれ、助かったァ…」
(赤)「流川、その子供に心当たりはあるか?」





「…俺の、妹ッス」





(彩)「……………ん?」
(赤)「今…なんつった?」
(小)「…い、妹?」





 コクンッ

二度も同じ事は言わねえと黙って頷く。
幼女の背をポンポン叩く流川の子育てスタイルに違和感が襲い掛かる。
激しく似合わない姿。
だが、腕の中の幼女はどこかデジャブ。
何よりあの騒動でもピクリとも動かなかった爆睡ぶり。

否定しようもない、事実だった。










(赤)「お…お……

おぉお前は何を連れてきとるんだァ!!!!」



赤木のシャウトがよく響く。
それでも目覚めない幼女の姿は、決定打。
間違いなく流川の血縁だ。



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