オール短編@

□最遊記外伝A
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不変の世界に居ても尚

抱く思いだけは、常に変化し続ける。



愁いもあり

怒りも抱く

時には 恐怖さえも





不変が
退屈で

  恐怖なんじゃない










それに染まる

「周り」と 「己」が

何よりも恐怖で、悲しい…───


























「───お久しぶりで御座います。
観世音菩薩、孔雀明王」



公示に膝を付き
平伏す恵岸を無情の眼で見詰める。
この場に居合わせる者の全てが、似通った瞳であろう。
観世も、金禪も。
彼に至っては欠伸さえ飛び出してしまいそうな程の退屈を感じているらしい。

横目で様子を伺っていると、不意に目が合う。

途端、と言えば自惚れにも成りうるが
明らかに彼の目の色が温かみを持った。
最近顔を合わせていなかったが、彼の中での私の信頼は未だ在るようだ。
薄く笑い、金禪の退屈を紛らわせる。

私達の浅い遊びに気付きもしない恵岸は、未だ能書きを述べている。
それを容赦なく一蹴したのは観世。
横目で賛同しつつ、私は時間を食われたくない思いの一心で本題へと急かさせた。





『下界から連れて来た幼児とは…?』

「は…東勝神州は傲来国
花果山山頂の精髄たる仙岩より生まれし
異端の妖で御座います。」





「岩から生まれた…?」

疑問が声に生まれた金禪。
右側から視線が送られ、詳細を問われる。

再度瞳だけを彼に向け、口を開いた。







『つまりは、人間でも妖怪でもないモノ』

「あァ、大地が生んだ生き物さ…」



観世の言葉が外交館内に広がる。

詳細を明かしたにも関わらず、その内容は童子の彼には理解出来ない…いや、
興味をそそられなかったよう。
彼の瞳に好奇心の色は見られなかった。

同時、館内の扉一枚隔てた向こう側から
興味深い気配を感じ取った。



─────…その気配こそ、










「放せよッ!
いてーってばッ ひっぱんなよ!?」



黄金の瞳をもつ、少年だった…───










「…見ての通り、かなり凶暴でして」

『……成る程』



確かに、これは動物だな。

どこからか、心境をリンクさせたらしい。
間隣から同調のオーラを感じる。
目を向ければ、何とも退屈そうな顔で呆れを交わらせた金禪が少年を見つめていた。





『…古来より
黄金の瞳を持つ赤子は吉凶の源。
言い伝えとはいえ、独断に判断は下せぬな』

「!さ、左様で御座います
如何なる処置を施すべきか、伺いに参った次第で…」





「ふん…成る程な」

『天上人は無殺生故、処分とも行けまい。
…釈迦如来も大概おおちゃくな奴だ』

「全くだ。
あのババアに伝えておけよ、ウチは保健所じゃねーんだってな」





「観世音菩薩! 孔雀明王!!」



二郎神が非難の声を上げる。
言葉を選べと冷や汗をかきながら叫ぶ中





鎖の、こすれる音が耳に入った。



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