オール短編@

□最遊記外伝B
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音を立てて動き出した、秒針



止まっていた、景色



灰色の世界は、壊された。










─────受け入れろ。



自分と

周りと



その世界を……─────




























今日も変わらぬ、空の色と日差し。

身体一杯に、その光を浴び
言わずと知れた日光浴を満喫していた所、

何やら下の方が騒がしくなってきた。



横行する気配と、忙しない声。
一つ二つじゃない相当の人数。
とてもじゃないが、眠れる気がしない。



多少の苛立ちを胸に屋根を降り、走り回る寡兵の一人を呼びとめた。










『何の騒ぎだ、喧しい。』



「は……ッ!!? く、孔雀明王様!?」

驚愕の感情のまま叫び出した声色と表情。
いつもは愉快と可笑しくなるが、生憎今は笑ってやれる程穏やかな気分ではない。
おそらく険しいだろう己の表情を引き締める事無く、再度聞き直してやった。





『何があった?』

「いや、そのっ…那吁太子を…」

『那吁…?』



久しく聞いていなかった友人の名が飛び出し、目を瞬かせる。
湧き上がる予感は、嫌な確信を抱かせた。



『あの子はまた…今度は何をした?』



決め付けの言葉だが、悪いとは微塵も思わない。自業自得な結果だ。
所謂オオカミ少年と化した友人に、もう溜息くらいしか出てこない。







「えェ…その……天帝に、」

『……やってくれたな…あの糞餓鬼』



思わず引き攣る笑み。
よりにもよって一番手を出してはいけない輩に悪戯を働くとは奴もなかなか大物。
そう悪態を胸に詳細を聞けば、まぁ何とも爆笑モンな事をしてくれた。



『……鼻毛?』

「ハイ…それも、油性で」



あァ、此処で所構わず爆笑出来たら、どんなに気持ちがイイ事か。
改めて自分の立場を歯痒く思うよ。

那吁め…何てセンスの良い奴なんだ。



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