オール短編@
□ウチのお姉ちゃん!
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『貴女、女子高生探偵してるんだって?
結構 知名度、高いみたいじゃない。』
「え、あ、その…ハイ」
不本意ながら、と小さく囁く私を綺麗に無視して…姉はクルッと後ろを向いた。
勿論、足はそのままで、首だけ。
『で、アナタが助手のネウロさんね?
表向きは。』
「…ほぅ、貴様はこのウジムシと違って、頭の回転が速そうだな」
『お褒めに与り光栄だわ』
お姉ちゃんの言葉と態度に目を見開く。
そして今更ながら…
ネウロの態度に違和感を覚えた。
そういえばコイツ…お姉ちゃんが来た時から猫被りモードじゃなかった。
ありのままの「素」の状態でお姉ちゃんと接していた。
普段じゃ、考えられない。
お母さんにさえ猫被りしてたのに…
動揺を隠しきれず、私は声を荒げた。
「ちょっ、ちょっと待って!
お姉ちゃん、何処まで知ってるの!?
っていうかネウロ!何でお姉ちゃんには素性を隠さないのさッ!?」
興奮気味に問いただす私に向かって…
二人は同時に、似通った笑みを浮かべた。
嗚呼、ネウロだ…ネウロが二人居る。
『んー…普通気付かない?
助手という立場にありながら、弥子に対しての暴言と凄まじい上から目線。
そして決定打は…
アンタみたいな馬鹿が、探偵なんて頭使う仕事出来る訳ないじゃない。』
「う゛っ…」
「フハハハ!!
ヤコよ!自分を理解してくれる者が居るというのは素晴らしい事だな」
「うっさい!!!」
『まぁ、ザッと見で…
表向きは探偵役と助手役。
でも裏では謎解きと、その実態を隠すためのカバー役…って所かしら?
何故そんな役回りをしてるのかは、分からないけどね。』
「…スゴイ」
「ほぉ…
観察力と洞察力は常人以上か。
ヤコよ、コイツは本当に貴様の姉か?」
「……い、一応…姉です」
自分でも時々疑う。
実は私は養子か捨て子ではなかったのか?
母も父も頭のイイ方だっただけに…
あの二人から姉が生まれた、というのは納得の結果なんだが。
何故自分は馬鹿なんだろう?
その疑問は、姉からすれば鼻で笑う程度のモノ…
『何故と思う暇があるなら
勉強に勤しみなさい、愚妹が。』
あの言葉を吐き出した時の姉の目は…
人を見る目じゃなかったと記憶している。
とどのつまり、ゴミを見る目付きだった。
『まぁ、私からしたら、そんな事どうでもイイのよ。
弥子が奴隷だろうとネウロさんが王様だろうとね。…問題はそこじゃないわ。』
「っな、んでしょう…?」
『ネウロさん?
弥子のお給料って、どうなってるのかしら?』
「そんなモノはない。
無給無償。文字通りのタダ働きだ。」
『そう、其処なのよね?問題は…』
姉が溜め息をつく。
色気満載の、大人の溜め息だ。
思わずドキドキしちゃいそうだが、今の私は別の意味でドキドキしてる。
もう心臓が口からコンニチワ…
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