銀魂 原作沿い@

□プロローグ
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【銀時side】




─────息が
心臓が…止まる程の衝撃



魅入ったのは

鋭く
冷たく
悲しい



真っ直ぐ過ぎる、瞳…─────

























「あァ〜ッもォ!酷ェ目にあったぜ…」



愚痴る声は、冷たい夜風に攫われた。
軽く身震いを起こす身体を腕に抱き込み
ふと手の甲に傷があるのを見つけ、また苛立ちが蘇った。

思い起こすのは、忌々しい仕事の依頼人。

少々性質の悪いのに引っ掛かってしまった所為で
こんな夜中に帰る羽目になってしまった。
本来なら、それ相応の金額を要求するのだが
生憎、依頼相手は自分以上の貧乏人。
強請る金もないのだと、半ばタダ働き同然の仕事だった。

それでも、相手の笑顔を見てしまえば
要求する気さえ起きなくなってしまう自分に、ほとほと嫌気がさす…





(ちくしょー…腹減った)





昼さえ食わずに仕事をしてた為
もう胃の中には水さえ存在しない。
さっさと帰って飯食うか…
あ、やっぱ止めだ、ダリィ。
ババァんとこ行ってタダ飯食らうか。
自称夜の蝶は、この時間帯は健在だし…

よし、そうしよう。










─────…、……










「ん…? なんだ…」


人気がない夜の民家街に
微かながら…妙な気配を感じた。

今にも消え入りそうな、儚い気配。

あまりに不安定なモノに…
嫌な予感と共に、悪寒が背筋を駆け巡る。





「……い、いやいやいやいや
違う、違うから…
か、かか考え過ぎだってホント…っ」


頭を埋め尽くすホラーな考えに
冷たい汗が全身を伝う。
違う、違うよマジ。
怖いとか、そんなんじゃないからね?
大体季節外れでしょ。
ふ、冬に…ゆゆゆ、幽霊とかさ!
ただでさえ寒ィってのに、これ以上涼しくなってどーすんの?
心頭熱却したって間に合わないよ?




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