小説
□雨宿り
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ザァアア…
「あー…どしゃぶり…」
放課後、美琴は靴箱の前で外を見上げ、帰りが遅くなるからと恋人の黒子に先に帰ってもらった事に後悔した。
外はザァザァと激しい音をならしながら雨が降っていて、その事に美琴はわざとらしく大きなため息をついた。
学校で雨宿りするのもいいがさすがに暇すぎるし、このまま帰ると風邪をひくのは見えてる。
さて…どうしよう…
「お姉さまーっ」
どうするか腕をくんで考えていると、ここにはいないはずの声が聞こえた。
はっと顔をあげるとそこには愛しい人がかけつけてくれて。
「黒子!?」
「ハァ…ハァ…良かった…間に合って…お姉さまの事ですから傘がなくてもそのままお帰りになると思いまして…」
「え…じゃぁむかえに来てくれたの?」
「はいっ」
黒子の体を見れば、傘をさしてきたのにも関わらず全身くまなく濡れていて。
よほど急いできてくれたのだろう。
「ありがとう…黒子…」
「いえいえ……あッ!!!?」
「どうしたの?」
何かに気が付いたような声をあげた黒子に問いかけてみると、少し困った顔で美琴の方を向いた。
「急いでたので傘…一つしか持ってきてないですのぉ…」
何かと思えばそんな事。
別に問題ないじゃない。
美琴は黒子の持っていた傘を手にとり、ぐいっと黒子を自分の方へ引き寄せた。
「こうすりゃ一つでも平気でしょ?」
「…お姉さま…」
ザァザァとうるさくなる雨の中、私たちは仲良くで歩いて行った。
こんな事なら雨も悪くない。
雨宿り