小説
□鈍感な君へ
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「あずにゃぁ〜ん、私の事嫌いになっちゃったの?」
「はい?」
突然後ろから抱きついてきた私の恋人唯先輩は耳元でそう囁いた。
何の冗談だ、と思いながらひっついて暑苦しい先輩を引き剥がそうとしたが、表情は真剣そのもので。
「…どうしたんですか先輩?」
「だって…あずにゃん最近冷たいもん」
「そん事ないですよ?」
「じゃあ何でキス嫌がるの?」
「そ、…それは…///」
「やっぱり私の事嫌いなんだぁあっ」
うぇーん、と大袈裟に泣き叫ぶ先輩に軽く苛立ちが芽生える。
ほんと、鈍感なんだから………。
私の肩に顔を乗っけてる先輩に、思い切って頬に口付けてやった。
案の定、先輩はみるみるうちに顔を真っ赤にさせて私から少し距離をとる。
「あ、ああああず…あずにゃ…っ////」
「ここまでしないとわからないって馬鹿ですか先輩ッ!!///」
「え、え…?」
「私が先輩を…嫌うわけないじゃないですか…っ。告白したのも私からだし……」
「あ、あずにゃぁあん…っ」
今度は正面からギュッと抱き締められ少し苦しい、が幸せ。
そんな事を思ってしまう私は本当重症者なんだと思う。
「あずにゃん、あずにゃん!もっかいちゅー」
「ち、調子に乗らないで下さいっ!!」
鈍感な君へ