小説
□一話
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「んン……ぅ…」
チュンチュン、
小鳥のさえずりで一人の少女が目をさます。
今日は珍しく一人で起きれた、と大きなベッドから小さな体の女の子、御坂美琴が上半身だけ起こして呟いた。
すると、コンコンと軽く扉をノックする音が聞こえて扉が開いた。
「失礼します、お嬢様お目覚めの時間ですよ」
現れたのは純白の服に包まれ、ツインテールで美琴より年下のメイド、白井黒子だった。
黒子は既に起きている美琴にひどく驚いた様子で。
「へっへーん、もう起きてるもーん」
「珍しいですわね、私が起こさなくてもお目覚めになるなんて」
「もう黒子なしでも大丈夫かもね」
「それでは黒子の楽しみが一つ減ってしまいますの」
「嘘嘘、冗談よ冗談。それよりいつものやってよ」
バッと美琴は両手を広げると、黒子は軽く微笑して美琴への距離を縮めた。
お互いの吐息がかかるくらいまでの距離に到達し、美琴はためらいもなく黒子の唇に己の唇をあてがった。
いつしかこれが毎日の日課となっていた。
数秒か数分かわからないキスを終え、唇を離して互いの目を見つめ合った。
「おはようのちゅーだね」
「…全く、こんな所を初春に見られたら……///」
「別にいいじゃない、そういう関係なんだから」
……そう、美琴と黒子は主人であってメイドだが恋人同士という秘密の関係でもあったりする…………かもしれない。
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