小説
□看病
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今日の風紀委員177支部には、黒子と佐天しかいなかった。
初春は学校で居残っていて今日はこれそうにないらしく、固法先輩は警邏に行っていて、美琴はコンビニに立ち読み。
他の同僚たちも何だかの理由で来ていない。
支部に遊びに来た佐天は、始末書とにらめっこしてる恋人、白井黒子の背中を退屈そうに眺めていた。
仕事が恋人みたいな黒子は、佐天の事など相手もせずに黙々と始末書を仕上げていく。
本当に私は白井さんに愛されてるのか、と心配になる今日この頃。
それにこんなレベル0の私が、風紀委員でレベル4の白井さんと付き合っててよいものなのか……
ぐるぐる頭を回転していたその時だった、
バタン、と。
座っていた席から黒子が床へと落下した。
「し、白井さん!!?」
一瞬戸惑ってしまったが、すぐに黒子の元へ走り抱き寄せた。
体に触れてみるととてつもなく熱くて、額からにじみでてる汗と開けるのもままならない目が辛さを表してる。
「体調悪いなら言ってくださいよっ!」
「…これくらい…別に、……って、何わたくしのブラウスのボタンを外してますのぉお!!?」
「体温計入れるんですよ!じっとしてて下さいっ」
「ぎゃあ!?手!!佐天さんの手冷たいですのっ!!」
「最近の体温計は便利ですよねぇ。脇にちょっと挟んだだけで計れるなんてどんなけハイテクなんだって」
佐天は独り言のような余談を楽しそうに話し、黒子の体温を計った体温計を取り出した。
そこには38.2という高熱を表した数字が。
「さ、38度!?よくこんなんで始末書書いてましたね…」
「あー、どうりで体がだるいと思いましたわ。ですが大したことありませんの」
「だめです!!ちゃんと寝てて下さい!」
ですが…、と何か言いたげな様子だったが強引に近くのソファーに寝ころばせた。
抵抗する力が残っていなかったのか、黒子は大人しく佐天の言う事を聞き入れた。
「大丈夫ですか…?病院行きますか?」
「安静にしてれば平気ですの」
「御坂さんや先輩に電話した方がいいのかな…」
「お姉さまたちにあまり心配かけたくありませんわ…」
「じ、じゃぁ私市販の薬勝ってきます!!はやく熱下げた方がいいだろうし」
急いで薬局へ行こうと立ち上がった時、ぎゅっと黒子が佐天の腕を掴んだので危うく転びそうになった
「し…白井さん…?」
返事はない。
その上俯いてるため、表情が確認されなかった。
恐る恐る顔を覗き込むと、掴まれていた腕をさらに強く握られた。
「あの…白井さ「無理して頑張らないで下さいまし…」
言葉を遮られたと思えば突然の理解不能な言葉。
「役にたとうとか、色々思い込まないで下さいな。佐天さんがそばにいてくれるほど贅沢な事はないんですから…」
「白井さん……」
「だから…どこにもいかないで、黒子の隣にいてほしいですの…」
「…はいっ」
小柄で火照った黒子の体をゆっくり抱きしめながら佐天は後悔した。
愛されてるのか、なんてどうして疑問に思ったのだろうか。
こんなにも愛されているのに…
私はとんだ馬鹿で大の幸せ者だよ…。
レベル0の私がレベル4の白井さんの役にたてる事なんて少ないだろうけど、それでも私はずっと白井さんの隣にいると誓った。
看病