小説

□今と昔の君
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先輩には逆らえないのか渋々仕事に戻る同僚達。



一人取り残された黒子はぽつんとその場に立ち尽くした。



前からコツコツ靴をならしながら歩いてきた先輩が突然荒っぽく頭を撫でてきた。
というよりぐしゃぐしゃにしたといった方が当てはまる。




「わっ、いきなりなんですのっ」



「あの子たち悪気あって言ったんじゃないと思うし気にしなくていいよ」



「別に気にしてなど」




「今にも泣きそうな子に言われても迫力ないんだけど?」




「…………」




先輩の答えに対し何の返答もしなかった。

いや、できなかった。


きっと今声を出すと情けない声をあげてしまうに違いない。



先輩にこれ以上迷惑かけられない。



その場から立ち去ろうと一歩下がると、



「え…っ」




突然ぎゅっと抱きしめられた。



「確かに、白井さんは変わった」



「………」



「白井さんと知り合ってまだ三年にしかならないけど私はわかる。それが本当の白井さんって事」





「固法…先輩…」




「どんな白井さんでも受け入れられるから…」



気付けば大粒の涙が頬を伝って床に落ちた。




自分で止める事もできなくて、ただ先輩にしがみつくしかできなかった。





その時の先輩の腕の中は
とてもとても、暖かいもので。
















おわれ
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