小説

□最近お姉さまの様子がおかしい
1ページ/2ページ





「最近お姉様の様子がおかしいんですの」



啜っていたミルクティーのカップを力なくコトンと机において溜め息混じりに呟いた。



いつもの喫茶店でお茶を楽しんでいるのだが今回は少し訳が違う。



いつもなら黒子の隣にはお決まりの御坂美琴がいるはずなのに何故か今日はいない。


そして珍しい事に今回お茶に誘ったのはいつも自分から遊びに申すなんてめったにない黒子からだ。



さすがにただ事ではないと感じた初春と佐天。


第一に黒子が発した言葉はやはり御坂美琴関連。



「御坂さんと何かあったんですか?」



少し重い空気の中、遠慮がちに初春は問いかけた。



「何かあった…それがわかったら苦労しませんの」



「様子がおかしいってどんな風にですか」



お次は佐天からの質問。
いつも前向きな白井さんがこんなに悩むなんて珍しいかも…。なんて事を考えながら俯く黒子を見つめた。



「…私が抱きついたり下着を盗んだりすると電撃を容赦なく放つ、これがお姉様ですわよね?」



「はぁ…まぁそうですね…」



「実は最近……電撃を浴びせないんです」



「それってどういう…」



「夜、お姉様のベッドに潜り込んでも眉ひとつ動かさず受け入れて下さるんですの」



「呆れたんじゃ…ないですか?」



「勢いよく抱きついて頬擦りをしても否定する事なく頭撫でてくるんですのよ!?」



「それは御坂さんらしくはないですね…」



「そして何よりあれほどまで毛嫌いしていた私のパソコン部品を見てみたい、だなんて言い出して…」



「で…、見せたんですか?」



「それがよく覚えてませんの。確かに見せた気はするんですが…その後お姉様にハーブティーを頂いて…それからいつの間にか眠ってましたわ」



「…し…白井さん…それって…」



もしかして御坂さんは白井さんの事…。


あまりに信じがたい話だが黒子の首筋の紅色の跡を見て確信してしまった。

真実を告げるか否か。
まさかこんなに白井さんが純粋な子だったなんて。



でもやっぱりここは教えてあげなきゃ



「白井さん、それは御坂さんが「大変じゃないですか白井さん!御坂さんきっと能力が使えなくなって…!」」



「初春もそう思いまして!?私に心配かけさせまいと内緒にするなんて…お姉様、水臭いですわ…」




「え…?あの、白井さん…?初春まで何を…」



「こうなったら御坂さんを救えるのは白井さんだけです!御坂さんの不安を取り除いてあげて下さい!」



「任せて下さいまし!必ずしもお姉様の能力を復活させてみせますわ!」




「…だめだこりゃ…」



真実を語るのはいつになるやら。

これは白井さんが気づくまで放っておいた方がよさそう。しみじみ感じた佐天は意気投合の黒子と初春を横目にミルクコーヒーを啜ったのだった。











→おまけ
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ