小説
□勘違い
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「ハァ…ハァ…つかまえた」
「…………」
「何ふてくされてんのよ」
「……別に…お姉様がそういうお方と今存じましたので…」
「は?何のはなし?」
「ですから…先ほどの類人猿…黒子よりあの猿の方がお好きなのでしょう?」
ジワジワと、
黒子の胸と目頭が熱くなる。
あんな類人猿に…お姉様をとられるなんて……
お姉様から返ってくる返事が怖かった。
「アンタ…何言ってんの?」
だが、その返事は予想をはるかにこえたもので。
「私があんなヤツの事を好きになると思う?」
「え…ですがさっき楽しそうにお話してたじゃありませんの……」
「あ…あぁ…あれ…ねぇ……実はね……あれ黒子のはなしをしてたの…///」
「へ…?わたくし…の?」
「うん…ノロケ話に付き合ってくれる人探してたから……」
「…お姉…さま…///」
な、なんだ…わたくしの早とちり…でしたの?
……良かったぁ…
ですがものすごい恥ずかしい勘違いでしたわ…
「全く、ここまで言わないとわからないって…あんた意外に鈍感?」
「ふふ、ごめんなさいですのっ。さぁさ、暗くならないうちに寮に戻りましょ」
ぎゅっ、とお姉様の手を握っても珍しく抵抗はなかった。
それどころか、黒子を受け入れてるようにもみえて……
お姉様は黒子が類人猿に嫉妬してたのが嬉しかったんでしょうか?
なら、類人猿にちょこっとだけ感謝ですわね。
なんて事を考えながら、黒子は足取りよく寮に戻ったのだった。
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