小説
□指切り
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「澪の髪って綺麗だよな」
律は恋人である澪のさらさらな髪をいじりながら、独り言のように呟いた。
羨ましそうに髪を眺め、今にも指をくわえそうな感じだった。
「律も綺麗じゃないか」
「お世辞なんていいよ」
「ほら、カチューシャとったらもっとさらさらだ」
スルッと律の前髪をあげていたカチューシャをとると、前髪で目が隠れた、
たまにしか見れない律の髪をおろした姿に、澪は胸のドキドキを隠すのに必死だった。
「…なんでいっつもカチューシャしてるんだ?おろしても可愛いのに…」
「そう?じゃぁ明日からカチューシャなしで行こうかな」
「え!?それはダメだっ!!」
慌てて律の名案を否定する澪に少し戸惑いを感じながら、なんでだよ?と問いてみる。
すると、澪は律から目をそらし、顔を赤め何か言いにくそうに口をもごもごさせた。
「だ…だって…髪おろした律…私しかあんま見た事ないし…、私しか知らない律の姿…皆に見られるのやだ…だもん…」
効果音をつけるならぼふんっ。
二人の顔はその言葉によって顔を真っ赤にさせた。
あまりの可愛さに、律はギュッと澪を抱き寄せた。
「…なんでそんな可愛い事いうかなぁ…」
「ほ…ほんとの事…言ったまでだ…っ」
「じゃぁ澪も私以外の人にそんな可愛い事言っちゃだめだぞ?」
「律以外にそんな事言うわけないだろ」
じゃぁ指切り、な?
律が小指を立てた右手を澪にずいっと差しだしてくる。
はいはい、とまるで子供を相手にするかのような口調で、澪も小指を立てた左手を律の右手に絡めた。
ゆーびきりげーんまん
嘘付いたら針千本飲ーます
もしやぶったらお仕置きだからな、
澪はぼそりと律の耳元で呟いた。
指 き り