黒琴

□38.
1ページ/8ページ





「黒子ー、はやくはやく!!」



「待って下さいなお姉さまぁー」



なれない靴で私の後を追ってくる黒子。



あの後、私たちはなんとか初日の出を見に行く事ができた。




そのまま寮に戻って寝ようと考えてたのだが、初春さんと佐天さんから"初詣に行こう"とメールがあり、その誘いを受け入れてしまった。



だから今私たちは袴を着て神社にむかっている。



正直むちゃくちゃ眠いのだが、黒子の顔見てたらそんなのどうでもよくなってきた。



黒子は袴に馴れてないのか、歩きにくそうにヨタヨタと後をついてくる。



「…こんなに歩きにくい靴と服は初めてですわ…」



「危なっかしいわね、夏祭りの時みたいに転ばないでよ(16話)」



「あ、あれは転びかけただけですの!!…そんなに心配して下さるならころばないようにして下さいまし…」



黒子は自分の手の甲を私の手に軽くぶつけてきた。



つまり手を繋いでほしいという事だろう。


いつもは大胆なのに何でこんな時には恥じるのかな。



そんな事されると意地悪したくなる私は、サディストに目覚めたのだろうか…?



「そんな頼み方がなってない人に手なんか繋いであげません」



「……また意地悪するんですのぉ…?」



「何?手繋いで欲しくないの?ころばないためって口実まで言ったのに?ほら、ちゃんとお願いしなさい」




「……っ、手握って欲しい、ですの…っ///」



ぐっと下唇を噛んでから、黒子はポツリと呟いた。



言い終わった後に、これでいいんですの??と照れながら聞いてきた。



……やば、可愛すぎ。




私はお望み通り黒子の右手を握ってやった。



黒子ったらそれだけであんなに幸せそうな顔しちゃって……




かっ、かっ、とぎこちない足音をならしながら、私たちはようやく神社にたどり着いた。




















次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ