黒琴
□38.
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「黒子ー、はやくはやく!!」
「待って下さいなお姉さまぁー」
なれない靴で私の後を追ってくる黒子。
あの後、私たちはなんとか初日の出を見に行く事ができた。
そのまま寮に戻って寝ようと考えてたのだが、初春さんと佐天さんから"初詣に行こう"とメールがあり、その誘いを受け入れてしまった。
だから今私たちは袴を着て神社にむかっている。
正直むちゃくちゃ眠いのだが、黒子の顔見てたらそんなのどうでもよくなってきた。
黒子は袴に馴れてないのか、歩きにくそうにヨタヨタと後をついてくる。
「…こんなに歩きにくい靴と服は初めてですわ…」
「危なっかしいわね、夏祭りの時みたいに転ばないでよ(16話)」
「あ、あれは転びかけただけですの!!…そんなに心配して下さるならころばないようにして下さいまし…」
黒子は自分の手の甲を私の手に軽くぶつけてきた。
つまり手を繋いでほしいという事だろう。
いつもは大胆なのに何でこんな時には恥じるのかな。
そんな事されると意地悪したくなる私は、サディストに目覚めたのだろうか…?
「そんな頼み方がなってない人に手なんか繋いであげません」
「……また意地悪するんですのぉ…?」
「何?手繋いで欲しくないの?ころばないためって口実まで言ったのに?ほら、ちゃんとお願いしなさい」
「……っ、手握って欲しい、ですの…っ///」
ぐっと下唇を噛んでから、黒子はポツリと呟いた。
言い終わった後に、これでいいんですの??と照れながら聞いてきた。
……やば、可愛すぎ。
私はお望み通り黒子の右手を握ってやった。
黒子ったらそれだけであんなに幸せそうな顔しちゃって……
かっ、かっ、とぎこちない足音をならしながら、私たちはようやく神社にたどり着いた。
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