黒琴

□40.
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2月13日、
街中は甘ったるい匂いで包まれていて、辺りは女の子で埋め尽くされていた。



それもそのはず、なんせ明日はカップルたちには美味しい行事、バレンタインなのだから。



そんな風景を目にしたわたくしこと白井黒子は、全身の酸素を吐き出すかのごとく溜め息をついた。




こんなイベントただちに壊滅すればいい、なんて半ば本気で思った。



別に黒子には恋人がいなくてチョコを渡す人がいない、などといった悲しい現実を背負ってたりなんて事はない。




現に御坂美琴という黒子にはもったいないくらいの彼女さえいたりする。



じゃぁ何故そのようなとんでも発言をしたのかというと……




「手作りチョコ…ですか…」



黒子は店の商品である板チョコを手にとり、ぼんやりとした目でそれを見つめた。



最近手作りチョコが流行、というのを初春から聞き興味がわいてきた。




だが手作りだと言ってもただ個体だったのを液体に戻すだけの行為だが。



初めは市販のチョコでも買うつもりだったが、周りは手作りに熱中してるし市販だと愛がないとまで初春に言われた。




そこまで言われると作るざるを得ないものだ。



だが問題はここにあった。



黒子は料理というものが大の苦手である。


もちろんそれはお菓子作りも同様で。



作ったものは全て得体の知れない物体になってしまう。



チョコのレシピなどを見てみたが、全く作れる気がしない。





「……はぁ」




黒子はもう一度溜め息をついた。




















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