黒琴
□08.
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「…ハァハァッ…」
私は公園の端っこで息を切らしていた。
逃げられた。
なんていう屈辱…
あれから数分鬼ごっこを続けていたわけだが、上手く視覚を利用されて視界から見失ってしまった。
全く、逃げ足だけは速いんだから…
真夏に走っただけあって前髪からしたたる汗を拭っていた
すると、
「あ、いたいた。御坂さーん」
「佐天さん!」
こちらに手を振りながら、佐天さんは駆け足で来た。
「初春捕まえましたよっ」
「え……あ"。」
忘れてた。
私初春さん探してたんだった。
目的を完全に忘れるなんて…
ごめん初春さん…佐天さんも
「で、その初春さんは?」
「それが、"本当になんでもないから気にしないで下さい"とだけ言って帰ったんですよ…。なんでもないとは思えないのに…」
「確かに何かおかしかったわよね…。まぁ今考えてても解決しないし、明日ちゃんと初春さんと話そうか」
「そうですね…」
「…あれ、そういや黒子は?」
「白井さんならさっき帰って行くの見ましたよ?声かけても聞こえてないみたいな…なんかあったんですか?」
「え…黒子帰ったの?別に何もないけど…」
何よ黒子ったら。
せっかく一緒に帰ろうと思ったのに、私に一言もなしに帰るなんて…
私は佐天さんに別れを告げて、急いで寮に戻った。
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