黒琴
□28.
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プルルル…
プルルル…
――ガチャ
「はい、白井ですが…あ、固法先輩?」
朝早くから黒子の携帯が鳴る。
電話の相手はどうやら固法先輩みたい。
なにやら深刻な表情で話してる…
今日は風紀委員非番なのに黒子も忙しそうね。
でも今日は久しぶりに黒子とデートできるから私はご機嫌。
電話を終えた黒子はバツが悪そうにこちらへやってきた。
「あの…非常に言いにくいんですが…」
「ん?」
「風紀委員の仕事が入りましたの…」
「そのこころは?」
「デートは…中止ということで…」
えー、とブーイングしたかったが、黒子はうつむいて今にも泣き出しそうな感じだったのでやめた。
黒子も悲しいよね…
私はぐっと言葉を飲み込み、そっか、とだけ言っておいた。
「ほんとに…申し訳ないです…」
「いいよ、風紀委員の方が大切だしね。またデートしようか」
「それが…1ヶ月間非番がないんですの…」
「…………」
私は無意識にため息をついてしまった。
わかってる。
黒子が忙しい事くらい…
黒子も寂しい事くらい…
でも…
「風紀委員と私…どっちが大事なの…」
言ってしまった。
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