黒琴

□35.
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黒子が死んで一年が経った。




私は三年生になり、高校に行くためこつこつ勉強をしている。




……と言いたいところだが、
私はまだ黒子が死んだ事を受け入れておらずに、ずっと寮で黒子の帰りを待っている。




黒子が死んだ……いや、
行方不明になったあの日、




黒子が私の肩を押した後の記憶はない。




ただ記憶の片隅に残っているのは、クレーンがギリギリ私に当たらなかった事と、黒子がかばったおかげで少女はかすり傷ですんだ事と、




血だらけの黒子が救急車に運ばれる姿。




気がついたら私は病院の待合室にいて、黒子は緊急手術室に運ばれていた。





そして手術室から出てきた医者の発言は、冷たく呆気なくひどいものだった。




「御坂さんッ!」




その後に初春さんと佐天さんが、顔色を変えてやってきた。




初春さんはすでに泣きじゃくっていて、服の袖で涙を懸命に拭っていた。




「白井さんは…白井さんはどうなっちゃったんですか!!?」




ガクガクと私の両肩を揺さぶってくる佐天さんの問いを、黙ってる私の変わりに医者が答えてくれた。








葬式ではみんな泣き崩れてた。



佐天さんも初春さんも固法先輩もみんなみんな、



だけど私は涙なんてのは流れない。



だって黒子は死んでないもん。
行方不明になっただけだから。



みんな泣いちゃって馬鹿みたい。




その日から私は寮から一歩も出てない。




黒子がいつでも帰って来てもいいように。


笑顔でむかえてあげれるように。



たまに初春さんと佐天さんが遊びに来てくれる。



2人がいてくれた方が黒子も帰ってきやすいだろうから嬉しい。



コンコン
「ごめんくださーい」



ほら、今日も来てくれた。



















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