黒琴
□37.
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「さてと、どっから掃除しようかなー」
「あ、私ちょっと買い物に行きますんでその間お掃除任せていいですか?」
「いいけど…何買いに行くの?」
「みかんですのよー」
「みかん?」
「はいっ!お正月に食べるみかんですの」
なるべく早く帰ってきます、と笑顔で言い残して黒子は部屋を後にした。
わざわざみかん買いに行くなんて、
なんかあの子って変な所で子供なのよねー。
まぁ黒子が帰ってくるまで掃除しとくか。
散らかった所は特にないが。
正確に言うと、私が服など散らかしていると黒子が注意してくる。
清潔な黒子は散らかすというのが許せないみたい。
とりあえず本棚でも整理しますか。
ベッドから腰を勢いよくあげ、本棚の前に立ちふさがった。
十冊ほど本を取り出すと、本棚から飛び出たほこりが部屋中を舞う。
少しためらいがあったが、再び本をごっそり引き抜く。
息を止めて手でほこり払っていると、
「ただいまですのー。さっき初春と偶然会ってみかんを頂きましたわよー」
ニコニコ笑顔の黒子が、みかんの入った袋を片手に帰ってきた。
「おかえり黒子。早かったわね」
「お、…お姉さま…?何を、…やられていますの…?」
「え?本棚の掃除だけど」
途端、黒子の顔色が変わり、何か焦った様子でこちらに空間移動してきた。
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