短編

□大型犬
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「お姉さまに近づくなーですの!」



キーキーと独特の高い声で叫んだのは他の誰でもない白井黒子。




なんでも、同僚の初春飾利が愛しのお姉さま御坂美琴と親しげに話していたのが気にくわなかったらしい。




今にも噛みつかれそうな勢いにたじろい、渋々初春は美琴から離れる事に。



「いやー初春も大変だねぇ」




初春が離れてすぐに美琴にべったりくっつく黒子を眺めながら佐天はニヤニヤと口角をあげた。


あたかも最初からここにいました、と言わんばかりの黒子は充分ご満喫な様子で。



「本当に大変ですよ!ちょっと御坂さんと話してただけなのに」




「お姉さまの隣は黒子専用ですのよーだ」




「もうっ、犬じゃないんですから威嚇しないで下さい」




「あー、確かに白井さん犬っぽい!」



「佐天さんまで…。ですがお姉さまの犬になら喜んでなりますわぁ!」



「はいはい、世話のやけるペットになりそうね」



「はぁ、もう私は仕事に戻りますからね」



「あー!待ってよ初春ぅー」


呆れてため息をもらしその場を後にする初春。


対して佐天は新しいおもちゃを手に入れた子供のようにどこか楽しげなご様子で初春の後を追った。


いつものパソコンの前にドカッと
荒々しく座った初春を眺めながら軽く笑いをこらえてる佐天が口を開いた。



「いかにも番犬、って感じだったねー」



「全く…白井さんには困ったものですよ」



「あー、違う違う。白井さんじゃなくて御坂さんの事ね」



「え?御坂さんが?どうしてですか」



「初春、小型犬ほどよく吠えるって知ってる?」



「聞いたことはあります。確か…自分を大きく見せるためだとか」




「そ。でも大型犬、もとい番犬はどうよ?」



「よく吠える犬も見かけますが大抵は佇んでいます」



「知ってた?初春が白井さんと会話してた時御坂さん…初春にもの凄い殺気を放っていたのを…」



「な、な、なっ!?ほ、本当ですか!?」



「強い犬ほど吠えない。つまり御坂さんは自分の殺気やら電磁波やらで白井さんに近付くものを追い払う…」



「…まさに大型犬、ですね…」




「でもさ私ね、この前白井さんの水着姿の写真御坂さんにバレずに撮れちゃったんだよねー」



「えっ!?バレずにってのもすごいですが何でそんなの持って………ひぃっ!!?」



「?…おーい初春?一体どうし………ひゃうっ!?みっ、みみみみみ御坂さんんっ!?」




「佐天さん、写真って、なんのお話?」



「えっ、あの、これは違うんです!!決して白井さんの水着姿だなんて撮ってません!ませんから!」



「さ、佐天さんんんんん!!」



「へぇ…、これはじっくりお話した方がよさそうね」




その後、佐天さんを見たものはいないとかそうでないとか。









おわれ
 

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