短編
□獣耳
1ページ/1ページ
「ただいまですのー」
夕方、風紀委員の仕事から帰ってきた黒子は一目散にベッドへと顔面からダイブした。
お疲れ気味の黒子をそっと撫でてやるとふとあるものが目に入った。
黒子の右手にはナイロン袋が握られていて、中にはなにやらもふもふとしたものが………
「なにこれ?」
「あぁ…佐天さんが珍しいものを見つけたからと下さったんです」
「中身は見たの?」
「え、えぇ…それが………」
恐る恐る取り出したのは
「うさ耳に猫耳、なにこれ犬耳?…ほかにも色々…」
特に使い道もなさげで、しいて言うならコスプレに使うくらいしか利用しない獣耳が沢山入っていて…。
何故これを佐天さんが黒子に託したのか不明だが、取り敢えずうさ耳を黒子につけてみた。
「わっ、だ、だめですよ!これは…」
「へぇー、なかなか似合ってて可愛いじゃない。毛とか結構リアルで肌触りも…」
「んひゃっ、くすぐったいっ…!」
「え?あ、触っちゃまずかった…?」
「あ、いえ、…えっとですね、この獣耳は付けるとその動物自身になってしまうという最近発明されたオモチャみたいなものなんです。耳を触られた感覚までも脳に伝わる優れものですが、危険だから撤去されるらしいですけど」
「危険って?別にそんな事ないと思うけどなー」
「動物にも相性が御座いますでしょう?狩る側と狩られる側のような…、それにここまで耳が敏感ですと色々大変……って、だから勝手につけちゃダメと申しておりますでしょう!!」
人の話をまったくもって聞かない美琴は黒子の静止もむなしく、無邪気に手に持っていた獣耳を頭につけた。
好奇心大勢なのはいいことですが注意事項を聞いて欲しいものですわ、とため息まじりに一人語散る。
「もう、ちゃんと黒子の話を最後まで聞いてくださ……」
突如、視界がグルリと反転。
そして
どさっ、と
目の前には妖艶に微笑むお姉様がうつっていて、そのバックには天井が広がっている。
いつの間にやら黒子は美琴に押し倒されている状態に。
さすがの積極的な黒子も突然の事に目を丸め、状況をあまり理解出来てないご様子。
「あ、えっと…お姉様?」
「……黒子可愛い…肌も白いからその真っ白なうさ耳も似合ってるわよ」
ツツツ…、とじれったく獣耳を下から上へ舌先を伝わす。
思わずピクリと体が反応してしまい、必死にもがいたが適うはずもなかった。
だって美琴がつけた獣耳は
「お、お姉様…それって狼の……」
「んー?犬か何かと思ったんだけど、別にどーでもいいことじゃない。」
いつもとは違う鋭い目で黒子をうつし、かぷりと首もとにかぶりついた。
「いっ…!?」
「今は黒子を食べちゃいたい気分なのよ…ね」
狼へと豹変した美琴は、ビクビクと怯えるこうさぎにそそられそのまま欲求へと体を任せただとか。
*お*ま*け*
佐天「白井さんうまくやってるかなー」
初春「あんな危険なもの本当に渡して良かったんですかね…」
佐天「何言ってんの。あのままだったら御坂さんいつまでたってもヘタレで手だせないまんまなんだよ?」
初春「それはそうですけど…。狼の耳、御坂さんつけてなかったらいいですけど…」
佐天「あー、なんか気になったらじっとしてらんなくなった!よし初春今から白井さんの寮に行くよ!」
初春「えぇ!今からですか!?」
佐天「白井さんと御坂さんの様子が気にならないの?ほらいくよ!」
初春「ああっ待ってくださいよぉー!」
おわれ