【拍手の物語】

□【奥さんは女子高生】
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「この……馬鹿野郎……」

はぁっとため息混じりで怒ると、

「えへへ」

と怒られたのにやちるは笑う。
そして顔を近づけ、

「……剣たん……せっけんのいいにおい……」

くんくんと髪のにおいをかいだ。

「おんなはほろよい、おとこはゆあがりっていいましてぇ……」

「そうなのか……ってお前はほろ酔いじゃねぇだろ」

素早い剣八のツッコミに

「あらそうれすね」

と口に手をあてて、ふふふと笑った。

「じょーだんつーじませんねぇーー」

「俺に冗談が通じるか」

「剣たんってほんとうに、いいおとこれすねぇー」

「…………」

会話があらぬ方向に飛んで、滅茶苦茶だ。
酔っ払ったやちるには、剣八でもついてはいけない。

「なんかあついれー」

「……あァ?」

「このへやあついよぉ」

やちるが突然きょときょとと、あたりを見回し初めた。
ブツブツと文句を言い始める。

「そりゃあオメエが酒飲んだからだよ」

「あついよぉ、もお」

そう言うとやちるは、
制服のリボンをするすると、ほどきはじめた。

「お前っ」

これには慌てた剣八。
やちるがボタンまで外しはじめたので、手首を掴む。
しかしやちるの反対の手にぺちんと叩かれ、
凄みをきかされた。

「あついんれす。とめないでくだせぇ」

「やちるっ」

「あついのおー」


止める間もなく幼妻が、自分の膝の上で服を脱いでいく。


制服を捲りあげると、白い肌が見えて
剣八はどきっとした。
その下から覗かせた、小さな可愛らしいおへそ。
くびれたなまめかしい、腰のライン。
背を伸ばした時に、肌に浮かび上がる肋骨。

制服の上を身をよじらせて、脱ぎ捨てると、
目の前でふるふると両胸が揺れた。
ブラの上からでも良く分かる、形の良い谷間だ。
ツンと立った先端に大きすぎでも、小さすぎでもない形。


床では恥ずかしがるやちるが、
自分から服を脱ぐなんて……、
酔ってでもしないと、絶対に見られない光景に、
剣八はごくりと喉が鳴った。

目を離せないでいる剣八に、やちるが

「んんん?」

どうしたの?
と言う風に、剣八を見下ろした。


この時になって剣八は気づいた。

これはコイツの策か?
と。

酔っ払って前後不覚になっているのは、
本当だろうが
これはコイツが無自覚にやってる、策なのか?

俺はまんまとハメられたのか?。
そうふと思った。

もしそうなら

コイツは本当に……
とんでもねェ奴だ……

と、剣八は思った。



「剣たんみてみてー」

やちるの言葉を無視する剣八。なんとか顔をそらし、視線をずらす。

「あーい、ちゅうもくぅー」

そんな剣八の顎を、やちるはグイッと掴み胸元を見せる。

「かわいいれしょーこのブラ」

「……………」

「ことしのしんさくなんれすよー。こあくまブラれーす」

小悪魔なのはてめェだこの糞、
と心の中で悪態をつく剣八。


やちるのしているブラは真っ黒で、
周りの縁にレースが縫われてある。
大人っぽい作りなのだが、何故か中心には
可愛らしいピンクのリボンがあった。
女性と少女の狭間をイメージした、作りのブラなのだろうか。
やちるにはとても似合っている。

「まえのリボンで外せるんだよ」


………そんな情報教えんじゃねェよ……。


と思いつつ……
剣八の頭の中でガラガラと理性やら、
今日の飲み会の予定やらが崩れていく。


とどめに剣八はあるものに、
気がついてしまった。

やちるの華奢な鎖骨の上に、無数の印の存在を。

ほんのりと赤い刻印。
それが昨晩の愛の跡だと、剣八は思い出す。
自分が付けたとはいえ、改めてこう見ると……、
なんとも言えない、いやらしさを感じた。



剣八はとうとう我慢ができなくなった。



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