【隊長の大切な人】

□【あなたとともに】
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ちょっと一息つきますかと、
お茶を煎れて執務室に戻ってみたら、部屋の主はものの見事に消えていた。

自分が部屋を出て、時間は少ししか経ってはいない。

慌ててやちるは机に向かった。
山積みになっている一番上の書類を手にとって、確認をする。
恐ろしい事に、最後に自分が目を通した所から一枚も進んでいなかった。


主は自分が部屋を出たら、即座に逃げ出したのだ。


霊圧を辿ってみると、部屋の主はいつもの所。
はあーっと、大きな溜め息をつくと、やちるは後を追った。




逃げた主はすぐに見つかった。
勤務時間なのに、隊長室の縁側でごろ寝をしていた。
勿論隠れたりはしていない。
堂々と昼寝をしている。


もう……また大きな黒猫さんが寝ているよ……。

と、やちるは思いながら近づいた。
巨体の横に正座をし、姿勢を正して声をかける。

「………隊長………」

「………………」

「隊長……まだ仕事は終わってませんよ」

「………………」

「……隊長…………」

主は答えない。
だがやちるは根気よく声をかける。

「……今やっている書類を今日中に終わらせないと、総隊長からまたどやされますよ」

「………………」

「それでなくても、書類の提出期限を一週間も、延ばしてもらっているんですよ」

「………………」

「………隊長…………」

「………………」

「………剣ちゃん………」

「………うるせェな………」



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