短編小説B 

□獄誕!
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「ツー君♪」
カチャリと音を立て部屋のドアが開いた。
ベッドでポテチなんてかじりながらマンガを読んでいたオレは母さんのニコニコした顔に嫌な予感がする。

「母さん、ノックしてから入ってよ」
一応反撃してみる。
全く、年頃の男の子の部屋を何だと思っているんだろう。

「まぁあ生意気ね!そういう台詞は自分で部屋の掃除機を掛けるようになってから言いなさいな。
それより見て見て〜♪ 今回のケーキは自信作なのよ! 出来たばかりだから、早くお隣に届けてくれないかしらー」
じゃーん!と差し出されたその四角い箱は綺麗にラッピングされていた。

ダークブラウンの包装紙に、薄い紫色の光沢のあるリボン。
(…オレん時は黄色やピンクで子供っぽくなかった?)
去年の自分の誕生日ケーキのラッピングを思い出してげんなりとする。何だろう、この差は。

「━…悪いけど母さん、オレ今年は隼人んとこ行かない事にしたんだ。ケーキは自分で届けてよ」

「あらまあ、ケンカでもしたの? やあねぇ、男の子同士って」
いつもの事かと頬に手を当てあらあら、と呆れる奈々に憮然となる。

(━━…違うんだよ、母さん)


どう言えばいいのだろう。

(━━…今、隼人の部屋に行くと!オレの貞操の危機なんだよ…!)

綱吉は長い長い溜め息をひとつ吐いた。




 
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