短編小説B 

□『他頭飼いは禁止事項』
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「ほーらツナたん、旦那さまですよー?」

「…キュウン?」

飼い主の京子ちゃんが連れてきたオレの『旦那様』という相手の犬は、銀色の艶やかな毛並みをした綺麗なアフガンハウンドだった。


 ◇ ◇ ◇


「わぁー///、京子ちゃん、この子ですか、新しく京子ちゃんのお家に来たわんこちゃんは」
はひ、とハルはゲージの中の犬を見て手に持った紅茶のカップを啜る。

「そうなの。でもハルちゃん気を付けて? その子、まだ慣れてないらしくて、気難しいの。新しい飼い主と家だから、緊張してると思うんだけど―…」

「元の飼い主さんがお引っ越しとかで、飼えなくなっちゃったんでしたっけ…。はひ、でもツナたんと一緒のゲージで、大丈夫なんですか? ツナたん、なんだかぷるぷるしてますけど」

「う〜ん、それがね? 不思議と隼人くんはツナたんを苛めないのよ? ツナたんが一方的に怖がってるだけで…」

「ツナたん、チワワですもんねぇ…。大きいお友達さんに、ビビっているのかもしれないです」






(Σひぃぃぃい…!!)
『何言ってくれちゃってんだよ二人とも…!』
「キャワワン、キャワワン、キャワワンワン!」

呑気に茶なんか啜ってる飼い主とその友達にガーンッとなる。

(普通新参者の犬と同じゲージに入れないだろ!?
大体こんな体格差の激しい二匹を一緒にするなんて!
もし間違いでもおきて、喰い付かれでもしたらどうすんのさ!!)

キュウン、キュウン、と鼻を鳴らす。

『おいチビ』
「…バウ」
と隼人は鳴く。

『安心しな、お前みたいなチビに手なんて出しゃあしねぇからよ。あそこの女どもは“旦那”なんて下らねぇ事言ってっけど』
「バウワウ」
隼人はどっしりと構えながら悠然と尾を振る。

(Σ信じられるかー―!!)
ツナはひぃい、となる。

犬には“発情期”というものがあるのだ。
去勢してないオスとメス。
その時期にどうして同じ事が言えようかと、ツナは信じる事が出来ない。




「私、自分のお家で赤ちゃんとか育ててみたかったんだー。楽しみ♪」

「そしたら京子ちゃん、ハルにも一匹くださいね? 大切に育てますから」


…ほのぼの♪






『……ま、仲良くやろうぜ?センパイ』

『Σ誰がだ――!!』

その日、キャワワンワン、と高く吠えるチワワの声が笹川家に響いたという(笑)



 
━━━


急に思い付いた突発ネタです。自分が最近犬を飼いだしたからかなあ…(笑)

読んで頂き、ありがとうございました!


【title:睡恋さま】

 

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