短編小説B ![](http://id48.fm-p.jp/data/206/rose5927/pri/7.jpg)
□『passion in blue』
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「暑ぢぃ」
パタパタと青い透明の下敷きで顔と首もとを仰ぐ。
日本の夏だけは慣れねぇぜ。
ドッカと机の上に両足を乗っけて、ネクタイを緩めながら、獄寺はひとつに結んだ銀色の髪をピッと指で弾く。
湿気を伴ったじめじめした独特の蒸し暑さ。肌に纏わりつく制服のシャツの、汗に濡れた纏わりつく感触。
(首を流れる汗も脇の下も気持ち悪ィ。こういう時は、冷たい海やプールにでも飛び込んで、涼をとりてぇもんだぜ)
脳裏に涼しげなイタリアの澄んだ青い海が浮かぶ。
どこまでも涼やかな、青い青いブルー。
「大丈夫? 獄寺くん」
「――…のわあ!?」
ひょいっと、急に視界いっぱいに綱吉の顔が広がって、獄寺はバッターンッ!と後ろにひっくり返る。
「痛つつつつ…」
長い脚を曲げながらぶつけた後頭部を擦る獄寺に、綱吉は一瞬きょとんとしてクスクス笑い出すと、
「もう、仕方ないなあ、獄寺くんは」
手を伸ばし、掴まんなよ、と助け舟を出す。
「あ…ありがとうございます」
恐れ多くもキュッと掴んだ綱吉の手はひんやりしていた。
男なのに白い腕は、汗を掻いているはずなのに、獄寺にはひどく清涼に見えた。