短編小説B 

□『その後の人魚姫』
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「お帰りなさいませ、隼人坊ちゃま…
あの、その方は…?」

海辺の高台に建てられた自宅に付くと、獄寺はカツカツと広いホールを通り過ぎる。
腕の中には布にくるまれた愛しい人。

召使いの言葉に、カツン、と足音を鳴らして振り返る。

「俺の、妻だ」


 ◇ ◇ ◇


「…『坊ちゃま』だって」
首にしがみついたまま綱吉はクスクス笑う。

「…っせーな//仕方ねーだろ?」
チッ、と照れたように顔を背ける獄寺。

(何だか可愛いんだ)
綱吉はさっきから笑みが止まらない。

そんなクスクス笑う綱吉を大事そうにベッドに下ろすと、改めてまじまじとその脚を見る。

白くて細い、滑らかな二本の脚―…

「…良かったよな。声、なくなんなくて」

「うん…きっと、リボーン…あ!オレの家庭教師なんだけど、…リボーンなりの、餞だったんじゃないかな? あと、オレの覚悟を試したかったというか…」
綱吉は新しく生えた足をさする。

(アイツには分かってたんだな、オレの気持ち。何を捨てても彼といたいっていう…)
チラッと獄寺を見上げる。

その視線に気付いて、獄寺の顔に朱が差す。
(ヤベェ、可愛い…//)
慣れない生足に無防備な綱吉。
逸らすように背けた顔に、綱吉が首を傾げた。

「…獄寺くん?」

「―…///!
風呂!風呂入んなきゃだよな!体、まだ海水と砂にまみれてるから…ッ」

「風呂?風呂って…」
知らない単語にきょと、と首を捻りながら獄寺の態度に異変を感じる綱吉。

(獄寺くんの様子が変)
さっき薬を飲んで、尻尾が脚に変わって…人間になれて。
しかも嬉しい事に声も失わなかったのに…

「獄寺くん、どうかした?
さっきからオレの事ちゃんと見てくれない」
ツナは瞳を逸らさず真っ直ぐ告げる。

ドキッとする獄寺。

「何か、思う事あるの?
あるなら言って。オレ、君の為ならなんだって出来る自信あるから―…」
獄寺の自分に対する愛を疑わない綱吉は自分の思いを正直に告げる。

と、途端抱き締められてベッドに横たえられた。

「ええ!?獄寺くん?」
(オレ変な事言ったー!??)
話の途中で何故か押し倒され驚愕する綱吉。

「すげー…口説き文句…ιι///
あのな…?」
耳元でボソッと告げる。

「俺たち今まで愛しあってたけど、種族が違って…越えられない壁があった。そうだろ?」

「…そうだね。でも今は同じ人間だ。これから先ずっと一緒にいられる」
「そう、一生、一緒に過ごせる…つまり、」

「んん…///」
綱吉の両手を固定して獄寺はキスを落とす。
それは段々深いものになって、舌を絡ませ歯列をなぞる。

「はぁん…っ//
獄、寺くん…?」
ゆっくり、ゆっくり―…

ぼうっと、夢見がちな瞳を浮かべるツナに獄寺は熱っぽい視線を向ける。

「―…子供を作れるってゆー事」

「子供? タマゴ…? ひゃ…っ//」
生まれたばかりの脚を折り曲げられ爪先から太股まで撫でられる。
折り曲げられた脚に綱吉は疑問を抱かないが、爪先、指の間を舌で舐められてビクンと身を弾ませた。

「―…あん…っ//!?」
(何!? これ…っ)

その可愛い反応に獄寺は意地悪く微笑を浮かべ、ちゅっと脚の甲に口付けると、視線は熱っぽく脚の奥を見つめた。

「焦んねーよ…ゆっくり、な?
もうお前は俺のもんなんだから。
先ずは、一緒に風呂に行こうぜ? 洗って、やるからよ」





“ そして6月には純白のドレスを着て花嫁になって ”





そう、きっと―…



人魚姫は泡に成らず声も失わず兄弟達の妨害もはねのけて、王子様と幸せに幸せになったに違いない。


おしまい♪


━━━


拍手文の続きを妄想してて長い事途中だったものを漸く書き上げました!あーすっきり(^w^)♪

人魚姫の王子様が他の姫に心惹かれるのが未だに理解出来ません。おかしいよねー
 

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