短編小説B 

□『静かなる嵐』
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「ありがとう獄寺くん、君のお陰で助かっちゃった」


そう言ってニコッと微笑んだ顔が、あんまり知っているヤツに良く似て、けれど罪を知らないあどけなく懐かしいものだったから―…











(俺には、)
ぎゅっと拳を握る。

譲れねぇものがある。
それはもう、物心付く頃には一緒にいるのが当たり前で大切で。
何者にも替え難く、妥協なんて付き合いしたら、一生手に入りゃしない、唯一無二の存在―…


ふっ、と笑む。
(そんな『ヤツ』の、幼い頃そのままの面影を残した異国の少年、]世)

俺の耳許で、こっそりと内緒話のように耳打ちして呟いて。

「いえ…10代目の実力ですよ」
事実を告げただけなのに、彼は大きく目を見開くと、頬をピンク色に染めそれはそれは嬉しそうに笑った。


 † † †


「随分…親切だったな。デーチモに」
美しい星空の下、ボウッと琥珀色の焔が揺らめき一人の青年の姿を紡ぎ出す。

「途中から、本気で守護していたろう? バレバレだ」
クスクスと楽しそうに笑う美しい青年、ボンゴレT世ジョット。
Gはふんっと舌打ちする。

「デーチモは可愛いからな。誰かさんとは違ってスレてなくて」
そんな台詞を受け流すように艶やかに微笑するジョット。

(ったく、質が悪いぜ)
無意識の微笑に、見惚れてGはガリガリと髪をかじる。

「デーチモにはデーチモだけの右腕がいるんだとよ」
(『右腕』、とは違うみてーだが)

『そんな、獄寺くんがいいんだよ』

そう、言った。一生懸命に。

『右腕とか守護者とか関係なくて、喧嘩っぱやくて時々突っ走っちゃって…だけどいつも一生懸命でそんな獄寺くんがオレは、』

―…右腕としての、最良なんていらないから―…

そう告げた、幼い印象の彼の瞳には、確かに確固とした答えが存在していた。



「…俺たちが試すまでもなかったのさ。奴らの絆は本物だ」

「白旗か? Gらしくもない」
クスクス

「ほざけ、分かっていたくせに―…それにあれだぜ?絆は『ボンゴレボス』と『右腕』ってなだけじゃない」

「? どういう意味だ?」
美しい青年は本気できょと、と首を傾げる。

(……色事に鈍いのは変わらず、かι)
Gは、はぁあ、と溜め息を吐く。





変わらない、『想い』。




 



「…っ!? G?」
金色の髪を梳くように掴みグイッと引き寄せる。
いつ以来の接触だ。意識は指輪の中にあっても、長い年月触れ合い共有する事などなかった。

(意識体でも、あったかい)

「…お前に触れんのも、デーチモのお陰だな」

「…今デーチモが居るのは、皆のお陰だよ。
俺はね? G―…」
うっとりと瞳を閉じる。
自分の髪を優しく梳く、この感触はあの頃と何ら変わっちゃいない。

(子供の頃から無茶ばかりする俺に、どんな事になってもついてきてくれた)
「―…感謝しているんだ。これでも」

「はっ今更だな!」
似合わなくしおらしく告げるジョットに、態と何でもない事のようにあっけらかんと言う。










(見たかったんだ)
長い悠久の時を隔てても尚

(変わらない思い…想い、願い。存在するモノ)

デーチモの傍らでギラギラと目を光らせ威嚇する、自分の若い頃を思わせる、ナイフにも似たまだ年若い少年。
見上げればあの頃と変わらない高く澄んだ星空。





(静穏な夜、星の輝きは秘めた静かな嵐のように)





「…後悔はしてねーぜ」
Gの呟きにジョットは美しく微笑みその胸に身を委ねた。


―――


アニリボ!!

普通に書こうとするとアニリボを文章にするだけになっちゃう位完璧な回でしたねっ(≧∇≦)

わあん獄ツナGプリ最高です…!

 

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