短編小説B 

□『迷える羊の恋愛事情』
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(…あれ?)

朝ふっと眼が覚めたら何だか違和感がした。

(なんだろコレおかしいな…オレ起きたよね?なのに浮遊する感覚、まだ夢見てんのかな―…)
ふよふよ。

ぼんやりしながら下を見る。
ベッドの上にはやはりスヤスヤと眠る自分が居て。
(あ、やっぱ夢じゃん。随分リアルだけど…
うー…、それにしてももう起きないと。確か今日は数学の小テスト、小テスト…ん?)

ピピピピピ、と鳴る電子音にうーん、と伸びる腕。
あれ? おかしいな。オレまだ此処にいるんですけど…ってΣええっ!??

『オレ』の姿をした『オレ』が ふ、と目を覚ます。

目覚ましを消し上体を起こすと、そっと脚をベッドから下ろし立ち上がる。
寝起きなのに優美で無駄がなく、隙のない動き。

(…ιιι…ってあれ?、あれ!? オレ此処にいんですけど、何で『オレ』動いてんの!?? 一体全体━…)
何ていうかフヨフヨと浮かんでるのは意識体のオレ。
ブァッと汗が吹き出る。

口をぱくぱくさせながら自分の姿をした『オレ』を見下ろしていると、ちょっと考えこむように固まっていた『オレ』が、こっちに気付いてふわりと微笑する。

「…なんだ、デーチモが出されたのか」

(…ゔっ///)
自分に見とれるってのも何だけど、見慣れた顔のパーツなのに妙に美しい。

艶然と微笑する唇のライン。発せられる言葉の、艶めいた美しいイントネーション。

『〜〜〜○☆×●◇※*…ッ!!』
(Σプリーモさん―――!??)
ガーン、となる。

過去に戻って数日。
継承の試験の最中にオレはプリーモと入れ替わってしまったのだ(笑)

 
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