短編小説B
□『真夏の群青』
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† † †
「す、すいません10代目」
ひたすら平身低頭する獄寺。
「もういいってば獄寺くん、顔上げて」
ダイナマイトが本物かどうかはともかく、テロリスト扱い不審者扱いされる前に、綱吉は獄寺の腕を掴み二人してサッサとその場を後にした。
「けど、せっかくアトラクション楽しみにしてらしたのに」
「うん…それはそうなんだけど」
何でかな? 何でだろう。
(…しゅんとしている獄寺くんには悪いけど、オレ今この状況にめちゃくちゃドキドキしてる━…)
さっきよりずっと。
見つからないように人混みの中、隠れるようにアトラクションの高い屋根の上で二人きり。
「顔、上げて」
肩を寄せて、身を縮めて
(観覧車の中の人達からは見えてるのかも知れないけど)
━…君の、せいだ。
間近に迫ったオレの顔に、顔を上げた獄寺くんは目を見張る。
「10、代目? ッン」
呟いて唇を寄せて、吃驚している恋人のそれに口付ける。
(吊り橋効果?それとも━…)
走って、塩からい唇。
ぺろりと舌を舐めて、うっとりと瞳を閉じる。
空からは隠れる事なんて出来ない、蒼天の下
つ、と汗が伝って
(欲情しちゃったんだから、しょうがないよね)
━━━
頭の中は夏休みモードです(笑)