短編小説B 

□ツナ誕
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「ごめん、オレの部屋例によって散らかってるけど━…痛た、ぁ…!?」
ガチャリとドアを開けた途端壁に押し付けられキスされる。

バサッと落ちる赤い薔薇の花束。

「んー!むーうっっ///」
(ま…また…!)
「━…は」
余りに性急なキスに、壁と隼人に挟まれながら綱吉はずるずると膝から崩れ落ちる。

パタン、
慣性の法則により静かに閉じるドア。

「ぁ…はあ」
濡れた喘ぎ声が耳を打つ。
ふるりと震える熱い体を手の内に感じて、隼人は ちゅ、と音を立て唇を離した。

顎に伝う唾液をグイッと拭いながら目尻を朱く染めてキツく睨む綱吉。
「無理やりは…しないって…言ったの に」

「…悪りィ…」
は、と甘い吐息を吐きながら少し怒ったように言う綱吉は、気付かないまま無意識に相当な色香を放っている。

謝りながら、けれどぞくぞくする自分を感じる隼人。
やべえ、エロい。

(このまま、ヤっちまいてぇ)

「アイツ…あの女、誰? 何しに来たんだよ」
理性を総動員して隼人は綱吉を腕から解放すると、ムスッと尋ねた。

「アイツって…ああ、ハル? 同じクラスの子だよ。誕生日プレゼントオレに届けてくれて」

綱吉の部屋にでっかい熊のぬいぐるみ。
実はツナはかなり前からハルにアプローチされていたのだ。

(けど…オッケーなんて出来ないよ。だってオレが好きなのは━…)
チラッと隼人を見上げた後、うつむき目を伏せる。

「…ほんと、オレなんかのどこがいいんだろう」

(…どこが、じゃねーだろ)
がああっくり、と隼人はうなだれる。

(お前のいいとこなんざ、見るやつが見りゃ分かんだよ!)

疎いにも程がある。此処までアプローチされても自信がないなんて、よっぽど鈍感か脳天気か天然か。
(ほっとくと、あんなヤツらが続々出てくるのか)
ぐるぐる目眩を覚える隼人。

「…━ね、これってプレゼント?」
そんな彼をよそに、ツナはバサッと花束を拾い上げて隼人の元にしゃがみ込んだ。

「男に薔薇の花束なんて、変だよ。女の子じゃあるまいしさ」
困ったようにぷぅ、と頬を膨らませる。

「…いや、それは演出ってゆーか」
(か…可愛い)
見惚れてぽーっとなる。

「演出?」
こてん、と首を傾げるツナ。

「〜〜〜っっ綱吉!!」
(あ"あ"あ"っもうっっ!)
バッ、と肩を掴む。

「はいっ!??」
(ひぇえ…!何事…!?)


「今年のプレゼントは俺だ!! 改めて告白に来た!!」

「━…へ、えぇえ…っ!?」

真顔でとんでもない事を告白する獄寺に、綱吉は間抜け面になってから一瞬で顔をボンっと真っ赤に染める。

(プレゼントって、プレゼントって、隼人が!?)
うわあ、うわあ!

そんな恥ずかしい事言う人、本当にいるとは思わなかった!

ツナは愕然とする。





 
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