短編小説B 

□『発情期は超大変!』
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※ここから人間バージョンに獣耳尻尾で読まれると、更に良いかと思われます(笑)





スルリとツナたんのケージに近寄る。
「良ければ、僕が子作り手伝ってあげようか。性格はともかく、君…見た目は綺麗だし…きっと綺麗な子犬が生まれるよ」

「Σえ!?あの…っ///」
深く色香を帯びた声で囁かれ、ツナたんはビクビクッとする。
(うわ…!何これ、躰中に電気が走るような…!)

「色は僕に似てもいいね…黒い毛並みに、ああ、瞳は君に似て琥珀がいい」

「さ…触らないでくださ…っああん!」
ふんふん、とお尻の匂いを嗅がれ腰が震える。

「テメェ!ツナたんに触るな!」
ガシャン、とケージに飛びかかる隼人。

雲雀はツナたんの醸し出すフェロモンに陶酔したまま、見下すようにに隼人を一瞥した。
「野蛮だね。だから飼い主に捨てられるんだ。
大体、子作りなんて、体格差でこの子もつらいだけ━…「隼人を馬鹿にするな!」

ギンッと、刺すような響きが間近から雲雀の耳を打ち、雲雀はハッとする。

「馬鹿にするな。お前に隼人の何が分かる!隼人は図体はでかいけど、心根は優しくて、誰より寂しがりなんだ」
凛とした声が響く。

「ツ…ツナたん……」
驚愕に呆然とする雲雀。
そこにいたのはさっきまでの弱々しいチワワじゃなかった。
大きな琥珀色の瞳に意志を漲らせ、茶色くふわふわした毛並みは怒りで膨らんでいる。

(何━…この子、この子がさっきのチワワだっていうの…?)
見惚れて立ち尽くす。その瞬間身も心もツナたんに捕らわれて、雲雀は嬉しそうにクスリと口角を上げた。


(何だ、こいつ━…)
こいつがツナたんだってのか?
ツナたんの新たな一面に侵しがたい神聖な部分を見つけ、隼人もまた魅了される。




「━…気に入ったよ。必ず君を僕の物にする」

その本気の声にハッと振り返る隼人。

「え!?あの、その…!?」
(何言っちゃってるのオレ━っっ)
ツナたんは我に返ると、またぷるぷると震え出した。

「ふざけんな!ツナたんは俺のだ!」
「僕の、だよ」
「ひぃぃい!!喧嘩しないでください―っっ」

キャワン、キャワン、キャワン…!



 ◇ ◇ ◇



「お待たせー♪お水とおやつだよ?……ツ、ツナたん……?」

ケージ越しにツナたんを挟んで三竦み。三匹の只ならぬ気配を感じて、京子はこてんと首を傾げた(笑)




━━━




【title:睡恋】

 
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