お題小説

□『不完全故に捕らわれる』
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ドン…ッ!

「…!うわ、すいませ…っ!」
あいたたた、と鼻を擦る綱吉。
沢田家の家の前、道の往来で出会い頭に人にぶつかった綱吉は、ごめんなさい、と身長差から上を見上げハッとする。

「━…って、何だ。骸かぁ」

(何だはないでしょう!何だは!)
自分を認識した途端、あっさりとした態度を取る綱吉。
骸はムッとする。

「…言っときますが、僕は別に君に会いに来た訳じゃありません。
『たまたま』、並盛に用が有り、『たまたま』、この通りを歩いていただけです。
ええ、決して君なんかを待っていた訳じゃありませんから」

顰めっ面で憮然と反論するも。
(…聞いていませんね)

「ああそう」と、対した興味も無さげにその場を去ろうとする綱吉。
はぁあ、と溜め息を吐く。

が、ふと思い付いたようにくるりと綱吉は骸に向き直った。

不意に自分に向けられた飴色の大きな瞳。
ドキン、
見据えられ、骸は息を呑む。


「そうだ。どうせ暇だろ?
付き合ってよ」

「━…は?」

綱吉はにっこりと微笑むと、見とれて直立不動した骸の腕をぐいっと引き、引きずるように連行したのだ。


 ◇ ◇ ◇

 
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