腐った男子です。
□遭遇、生徒会
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「うわぁ、広いです…!」
3人で連れ立ってやってきた食堂は、寮の食堂と言うにはあまりにも広く、豪華な造りになっていました。
こういうのも王道ですよね。
凄くワクワクしてきます。
「注文ボタンを押してからカウンターに取りに行くんだよ。注文はあそこの機械でできるから………」
入寮したばかりの僕に、戸波くんが注文方法を教えてくれました。
教えてもらった通りに注文し、3人並んでカウンターに行けば、既に出来立てホヤホヤの料理が用意されています。
「早いです………」
「だよなー」
陽一さんが『立ち食いうどん屋並みだよ』と呟いたので、僕は少し驚いてしまいました。
「陽一さんは立ち食いうどん屋さんに行った事があるのですか?」
ああいう所はおじさんやサラリーマンの方が多い印象だったので、高校生になったばかりの陽一さんが行くというのはビックリです。
「あー。本屋巡りとかする時に、駅中のとことか行ってた。安いし早いし」
………なるほどです。
会話をしながら適当に空いている席を探し、僕達は腰を降ろしました。
ちなみにメニューは僕がグラタン定食、陽一さんがエビフライ定食、戸波くんがオムライスです。
「いただきます」
そう言って一口含めば、濃厚なホワイトソースの旨味が口いっぱいに広がりました。
「うわぁ……! 美味しいです……!」
僕が目をキラキラさせていると、陽一さんがクスッと笑いました。
「確かに学食レベルじゃねーよな」
「そうだね。僕の中学には学食があったけど、こんな感じじゃなかったよ」
ここから何故か安くて美味しいお店の話になり、名門校生らしからぬ話題で盛り上がりました。
3人とも外部組なので、話題が庶民的でとても落ち着きます。
ほとんどの料理を食べ終わり、まったりとお茶を飲んでいた時、急に食堂内がざわめき始めました。
「何かあったのかな…?」
不思議そうな顔をする戸波くんを余所に、僕と陽一さんは視線を合わせます。
だって、だって。
食堂でざわめきが起こる場合、それは――、
王道的、生徒会メンバーの登場シーンじゃないですか……?
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