腐った男子です。

□探険、特別棟
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中庭をのんびり散歩しながら、僕は空を見上げます。

「今日はいい天気です……」


入学からはや1ヶ月が過ぎ、この学園にも少し慣れてきました。
その間、これといった進展や事件などはなく、穏やかな時間が流れています。


由比くんと副会長の件については、まだこれといった進展がありません。

『仲良くなる努力は諦めないぞ作戦』を実行中の由比くんは、少しでも副会長に近付く為、クラス委員になりました。

クラスの代表として会議に参加するたび、同じ会議室で副会長に会えるのでは。
そんな考えがあったからです。

それなのに副会長は、5月(つまりは今月なのですが)に行われる球技大会の準備に追われ、多忙を極めているらしく。
現在は全くと言っていいほど、接触を図れていない状況です。

由比くんは『長期戦でいくよ』と笑っていました。


「難しいです……」

ふぅとため息を吐き、中庭にあるベンチに腰掛けます。

力になりたいのに何もできません。
そんなもどかしさを感じながら、結局は由比くんが頑張らなければいけないという事も、理解しています。


「…………萌えたいです」


何の脈絡もなく、そう呟いてしまいました。

あ、すみません。
石は投げないで下さい。

仕方ないんです。
ワクワクの男子校生活が始まったのに、なかなか萌えを探せていないのです。

由比くんの件が心配なのもありますし、それ以上に、普通に暮らしていては、そう言った萌えシーンに出会えないと判明しました。

よくよく考えたら当たり前の話ですよね。
人の目があるような場所で、告白だのイチャイチャだの、するはずもありません。

中にはそういうのが平気な人もいるのでしょうが、自分に置き換えて考えてみたら、とても無理でした。

そんなわけで、未だリアルBLシーンには、出会えていないのです。

「探しに行ってみましょうか……」

校内の地理にも詳しくなって、迷子になるような心配もなくなりました。

由比くんは相変わらずの委員会活動で忙しく、陽一さんも部活(ちなみに文芸部です)で、夕食前にならないと寮へは戻りません。


1人でぼんやりしているくらいなら。


決意を固めた僕は、陽当たりのいいベンチから立ち上がり、人気のない特別棟へと歩き出しました。

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