腐った男子です。

□見学、親衛隊
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球技大会での事件から一夜明けた、今日。
いわゆる事情聴取があると言われ、僕と由比くん、陽一さんの3人は、自室での待機を命じられていまた。

正しくは僕だけが命じられていたのですが、心配したお2人が付き添って下さる形になります。

事情聴取なんて物々しくて不安だったので、とても心強いです。


約束の時間である午前9時に扉がノックされ、時間通りだと思いながら扉に向かいます。
開けた先に居た人物は、まさかの人物でした。


「よう、邪魔するぞ」


……会長が来るなんて、聞いていません。


「え、あの……」

困惑をあらわに見上げた先、会長の後方から、申し訳なさそうな声が聞こえてきました。

「良平くん、ごめんね。どうしても来るって聞かなくて……」

そう言って下さったのは副会長です。
ですが貴方が来るという話も、聞いていません……。

「目立つから庶務あたりを寄越すように言ったんだけどな。戸波も天城も引かなくて」

最後に顔を見せたのは寮長でした。
僕と一緒に事情聴取をされると聞いていたので、ようやくホッとします。

「いえあの、ビックリはしましたが大丈夫です。とりあえず中へどうぞ」

「お邪魔します」

ゾロゾロと中へ入る3人を見送りながら、こっそり外を確認します。
時間が早いせいか、他の生徒の姿はないようですね。
とりあえず一安心です。

「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ。一応ひと気がないのは確認したし、万が一見られていたとしても、昨日の事があるから説明できる」

リビングの手前で僕を待っていたらしい副会長が、苦笑しながらそう言いました。
僕の心配はお見通しだったみたいで、ちょっと居た堪れない気持ちになってしまいます。

でも仕方ないと思うのです。
昨日、割れた窓ガラスで怪我をしたばかりで、その心当たりなんて生徒会の方々に接した事くらいしかなくて、つい警戒心が先に立ってしまったんです。

けれど、せっかく足を運んで下さったのに、警戒が1番先なんて。
よく考えなくても、失礼な態度でした。

「すみません……」

「いいよ、気にしないで。神経質になるのは当たり前だから」

副会長とは連絡先を交換してからというもの、時々メールでのやり取りをしています。
そのほとんどが約束していた訪問の日取り相談だったのですが、それだけでも着実に親密度のようなものは増していて。

そのせいもあってか、最初の頃は何を考えているのかわからなかった副会長は、本当に優しく接して下さるようになっていました。

会長と副会長が部屋に来たのには驚きましたが、これはこれでよかったのかもしれません。
事情聴取という始めての体験で、しかも相手が知らない相手だと、思っていたより緊張してしまったでしょうから。


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