短編小説
□突発小話
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「あ、あっ、や、やめ…っ、アカン、アカンって!」
「うーん…。けっこう慣らしたと思うんだけど、まだダメなの?」
「ダメに決まって…!」
「しょうがないなぁ、神楽は」
しょうがないって、しょうがないってなんやねーん!!!
関西弁受け2
「も…、ホンマにお前……変態や…」
矢内の部屋のベッドでグッタリしとるオレ。
なんでこんな事にって思うんやけど、いつの間にか丸め込まれて、『オツキアイ』する事になってもうたワケで。
「いつになったら最後までできるんだろうね。早く神楽と繋がりたいなぁ」
こ、この変態オヤジ…!
同性に身体イジくられるだけでもいっぱいいっぱいやのに、これ以上をオレに要求すんなっちゅーの!
そら男やったら惚れた相手に突っ込んでイキたいやろけど。
それはオレも男やからわかるけど。
やけどわかるからこそ、オレも男やっちゅー葛藤みたんなんがあるワケやねん。
オンナみたいにイカされてもーたら、オレはどうなるねん、みたいな。
「なぁ、矢内……」
「なあに?」
「最後までできへんかっても、オレと付き合ってたいん?」
やらしてくれへん相手なんか、とっとと見切り付けて次に行けや。
言葉の裏にそう込めて行ったんやけど。
「絶対できるようになるよ。っていうかするよ」
………一瞬の迷いもあらへん。
コイツ本気や。
「わかった。オレも腹決めたる」
「え?」
「そこまで決意してるんやったら、もうジタバタせんと覚悟決めたる。……一思いにヤってくれや」
そう言うて大の字になったオレは、死刑執行を待つ囚人の気分や。
やけど予想に反して、矢内はオレを襲う気配を見せへんかった。
「ねえ、神楽」
「……?」
「最初に無理矢理手を出したのは俺だから、説得力がないのはわかってるけどね。でも俺は神楽の身体だけが欲しいわけじゃないんだよ?」
なんや寂しそうに言われて、ギクリとした。
「俺は神楽が好きだから、神楽がホントにその気になるのを待ってる。だからそんな風に投げやりに言わないで。一応これでも我慢してるんだから、煽られるとキツいよ」
矢内は笑顔やった。
でも傷付けたって、わかる顔やった。
そんな顔されたら……。
「だ、だから…っ、ええって言うてるやん……」
「神楽……」
「そもそも何とも思てへんヤツに身体弄らせたりするワケあらへんやろ。お前があんま変態やから、ちょっと尻込みしてただけやん……」
自分でも自覚してへんかったけど、口が勝手に動きよった。
やけど結局、そういう事や。
今まで散々矢内に触られて、しっかり気持ちようなってたんやし。
たぶん初めから、オレは矢内が……、
「ホントにいいんだね?」
………あれ?
「や、矢内…?」
さっきまで紳士然としとった矢内の目が、妖しく光って見えるんやけど……。
「言質は取ったよ? もう待たなくていいんだよね?」
言いながら覆い被さってくる矢内は、今までの比やないほど野獣くさい顔をしとった。
……オレ、なんや間違ったんとちゃう?
そんで結局、訂正も撤回もできんまま。
予想以上の変態っぷりを発揮した矢内に好き勝手されたオレは、たぶん底なしのアホやったんやと思た。
後悔先に立たずやけどな!
end .