腐った男子です。

□質問、管理人室
2ページ/11ページ


「その噂は事実だよ。さすがに大っぴらにしている生徒はほとんどいないけど、生徒会は親衛隊があるくらいの人気だし、同性を恋愛対象として見る人間は多いんだ。理由はわかるかな?」

「……環境のせい、ですか?」

この学院の立地は、陸の孤島とまではいかないものの、山奥故の不便さが多々あります。
それこそが王道的ではあるのですが。

「多感な時期に周りは男ばかり。特に中学からの持ち上がり組はその傾向が強くて、外部入学生でも感化されてしまったりする」

「まあそうでしょうね」

陽一さんが同意した通り、その気がなくてもほだされたり、落とされる場合もあるのでしょう。
欲求に逆らいきれず、なんて場合もあるかもしれません。

「実際のところ、恋愛関係に発展するケースは少ないんだ。下世話な話だけど、女の子役をしたがる子は少ないから。望んでやっている子もいるけど、そういう子は大抵が生徒会の親衛隊だし」

ネコ要員が足りない、という事ですか。
攻め×攻めも個人的には萌えますが、そんなに上手くいかないのが現実ですよね。

「そんな理由で、学院内には欲求を持て余している生徒が多いんだ。だから……、」

寮長は言い淀み、僕をチラリと伺いました。

「………昨日の中谷のような事件が、起こったりする」

その言葉で、空気が一瞬にして変わった気がします。

「事前に注意できなくて、本当に申し訳なかったと思ってる。謝って済む事じゃないけど……」

真剣な顔をした寮長はおもむろに立ち上がり、真っ直ぐ僕に向かって頭を下げました。

「本当にすまなかった……」

「や、やめて下さい……! 僕なら大丈夫ですから!」

同性愛者が多いと知っていて危険な目に会ったのは、僕の責任です。
いくら寮長が教える立場だったとしても、こんな風に謝られる理由にはなりません。

「そう言ってくれるのは嬉しいけど、これは俺の責任なんだ。中谷と戸波は特に注意が必要だったのに……」

「え……?」

「どういう、事ですか?」

由比くんは自分の名前が出たのが予想外だったらしく、ポカンとした顔をしていました。
僕からしてみれば、僕の名前が上がったほうが驚きなのですが……。

.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ