腐った男子です。
□質問、管理人室
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「2人とも、入試の時に面接を受けただろ?」
「はい」
「あの面接は試験としての目的以外にも、もし学院に入学した際、どちらの役割で標的になるか見定める目的もあるんだ」
さすがにこれには、3人ともポカンとしてしました。
だって試験って、厳粛なものですよね?
その面接で、受けか攻めかをチェックされていたなんて、誰も思わないでしょう?
「学院に対する予備知識が少ない外部生は、特に被害に遇いやすいんだ。寮の部屋割でも、下手な相手とは組ませられない。
体格がいい生徒に無理矢理迫られでもしたら、大変な事になる」
「はぁ、なるほど。それで俺は、内部進学組と相部屋だったんですね」
納得した顔で頷くのは、陽一さんだけです。
確かに陽一さんの同室者は、中等部からの持ち上がりでしたが……。
「そうだ。少なくとも市川は、男に押し倒されるほど、ヤワには見えなかったからな。
中谷と戸波が同室になったのは、そんな理由があるからなんだ。外部生同士で同室になると、校内の知識に関して疎くはなるけど、そこは後々フォローするつもりだった」
それが延び延びになっていたのは自分の責任だと、改めて頭を下げられてしまいます。
気まずい沈黙が続く中、謝られている自分がどうにかしないといけないと、わかってはいるのですが……。
「僕は本当に、寮長を責める気はないです……」
「でも……」
堂々巡りになりそうだった空気を切ったのは、またしても陽一さんでした。
「ボディーガードとかしてもらえば?」
「へ?」
「はい?」
僕と寮長が視線をやると、陽一さんはニッコリ笑ってこう言います。
「なるべく良平を1人にしないよう注意するつもりですけど、どうしても無理な時もありますから。それは戸波にも言える事で、そんな場合は寮長が、この2人を守ってやって下さいよ」
提案、と言うには、少し強引な物言いに感じました。
「そんな迷惑を掛けるつもりは……」
ないのですが、と言う前に。
「ぜひそうさせてほしい。俺の自己満足に過ぎないけど、頼む」
寮長が、三度頭を下げてしまいました。
もうこれは、断れる雰囲気じゃありませんよね……。
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