腐った男子です。
□質問、管理人室
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「……たぶん僕は、そこまでしてもらう必要ありません」
控え目に、由比くんがそう言いました。
いえいえ、何を言っているのですか。
体格が小さいだけの僕とは違って、由比くんは絶世の美少年なのですよ?
僕なんかより、よっぽど危険です。
「僕は戸波姓です。副会長の弟だというのが、もう有名みたいで……。聞きました。戸波の家はこの学院内でも、かなりの影響力があるんですよね?」
そう言えば、副会長との件は、かなりの知名度になっていましたね。
クラス委員の集まりでも、特別扱いがあったと零していたのを思い出しました。
「だからと言って安全なわけじゃ……」
「わかってます。だから何処が危険なのか、それを教えて下さい。警戒は怠らないようにします。ですから、良平くんがもう怖い思いをしないで済むように、して下さい」
「由比くん……」
僕は今、とても感動しています……!
自分も危ないという話を聞いて、不安じゃないはずがないのに、僕を心配してくれるなんて。
僕は本当に果報者です。
「それに、あの……」
言い難そうに口ごもる由比くんは、少し恥ずかしそうに頬を染め、なおかつ眉を寄せるという複雑な顔をしていました。
………どうしたのでしょう?
「実は……、僕の親衛隊ができる事になって……」
…………ええぇぇぇ!?
ちょ、初耳です!
聞いていませんよ!?
「昨日のクラス委員会で、2年の吉澤(ヨシザワ)先輩から言われたんです。自分が隊長で親衛隊を作るから、許可がほしいって。最初は断ってたんですけど、僕に迷惑は掛けないからって力説されて……」
「……凄いな。持ち上がり組でもないのに、入学してからこんな短期間で親衛隊ができるなんて。かなり異例の事だよ」
寮長も驚きを隠せないらしく、唖然としています。
でも確かに、由比くんの可愛さで名前の知名度もあれば、親衛隊ができても不思議ではありません。
むしろ納得です。
「と、とにかく。親衛隊の方が僕を守ってくれる、みたいな事を言って下さっていたので。僕の事はあまり心配ないと思います」
「………そうだな。親衛隊持ちには迂闊に手を出せない。でも注意は怠らないようにしてくれよ」
「はい」
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