腐った男子です。
□暗雲、球技大会
5ページ/9ページ
「生徒会室に弁当を取りに行った帰りだ。どこか静かな場所で食おうと思ってウロウロしてたら、カモにされそうな奴が特別棟に向かって行ったから」
「……それでわざわざ、僕を止めに来て下さったんですか?」
ストレートに尋ねれば、どこかバツが悪そうに顔を背けられます。
その表情のままの口調で、こう返されました。
「一応生徒会長だからな。校内での事件なんかは防ぎたいだろ」
「………」
今ちょっと、いえかなり感動してしまいました。
俺様な口調や態度が王道的で、しかもモテモテな生徒会長。
それだけでも理想的な攻めキャラなのに。
責任感まであるって、最高じゃないですか?
ほんの少し見え隠れするツンデレ臭もたまりませんが、これで受けには溺愛とかだったら、もう最高に萌えます。
無意識でしたがウットリ見上げていた僕に、会長は表情を変えていました。
からかうような、意地悪な笑みです。
「何だよ、そんな顔して。俺に惚れたのか?」
あぁ、そんな表情も理想的な俺様顔ですね。
………って。
「えっ!?」
「まあ俺みたいに完璧な男はそうそういないからな。お前は玲のお気に入りみたいだが、俺が好きならセフレにしてやらない事もないぜ?」
「ふぇっ!?」
下半身が密着するように腰を抱かれ、奇声を発してしまいました。
「えっ、あのっ、えっ!?」
「心配しなくても俺は上手いぜ。経験がなくても、ちゃんと仕込んでやる」
ちょ、何故そんな話になるんですか!?
急展開で予想外すぎる内容と、近すぎる綺麗な顔のせいで、パニック状態です。
でもきちんと伝えなくては。
これだけは、きちんと。
「お、お断りします…っ!」
目をつぶって、会長の身体を腕で押し返しながら。
必死で、そう言いました。
「………は?」
返ってきたのは、呆気に取られたような声。
よほど意外だったのか、腰に回されていた腕の力も抜けていました。
この隙に、と距離を取った僕を、会長は驚きの表情で見つめています。
そ、そんなに驚く事でしょうか……?
.