腐った男子です。

□見学、親衛隊
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川原先輩は挙動不審気味だった僕を、自分が囲むテーブルに招いてくれました。
同席するのは川原先輩の他に、入江先輩、白石先輩だけのようです。

「一応、僕達3人は幹部なんだ。でも権限があるのはモモ隊長だけだし、普通に部活の先輩くらいの感覚で大丈夫だよ」

そう教えて下さったのは、白石先輩です。

……と、言うか。
モモ隊長って、川原先輩の事ですか?

「僕達、3人とも名前に色の名前が入ってるでしょ? だからあだ名を色名で統一してるの。よかったら中谷くんもあだ名で呼んでね」

入江先輩の説明に納得です。
でも川原先輩がモモ隊長って、可愛すぎて萌えますね。
とても似合ってますし。

腰を落ち着けてみれば気持ちも少し落ち着けて、ようやく周りを見る余裕ができてきました。

よくBLでは親衛隊所属の可愛い系男子をチワワと表現しますが、確かに会長親衛隊の皆さんは、仔犬っぽい方々が多いように思います。
初めて食堂で悲鳴を聞いた時、萌えないと思ってしまった僕ですが、こうして見ると皆さん可愛らしく、それだけでもテンションが上がってきました。

だってここにいる皆さんは、会長が好きなのですよね?
それだけでも激しく萌える事実です。

皆さんそれぞれ可愛いのですが、とりわけ可愛らしいのはモモ隊長こと、川原先輩です。
色白な肌にサラサラの髪は淡いブラウン系。
綺麗な二重まぶたにクリクリお目々で、育ちのよさを感じる気品があり、雰囲気としてはマルチーズといったところでしょうか。

副隊長の入江先輩は、通称ミドリ先輩。
ボリュームのある栗毛のストレートヘアと、快活な性格が伺えるところから、ポメラニアンを想像させます。

最後の白石先輩は、シロ先輩。
3人の中では1番小柄で、一際つぶらな目がまさにチワワといった感じですね。

可愛いと言えば由比くんですが、彼の場合はトイプードルに似ているような気がします。

などと考えていたら、以前自分が豆柴だと言われた事を思い出しました。


……豆柴は可愛いと思うんですけど、どことなく複雑な気持ちになるのは何故でしょうか……。


「あの…、モモ隊長!」

ミドリ先輩の淹れて下さったハーブティーを飲もうとしていたら、隊員さんの1人がテーブルに近付き、声を掛けてきました。

「どうしたの?」

「あの、中谷…くんはセフレ入隊予定だと聞いていたんですが、見学ってどういう事ですか…!?」

あう。セフレ入隊って、そんな枠があるのですか。

「中谷くんはセフレにはなってないよ。けど会長様親衛隊に興味があるから、見学したいんだって」

モモ隊長の説明を聞いて、その隊員さんは信じられないといった顔で僕を凝視しました。

…そうですよね。
僕、不可思議な行動を取っているように見えますよね。


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