腐った男子です。

□見学、親衛隊
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「光輝が原因って、どういう事?」

険しい顔をした副会長は、その表情と同じく険しい口調で会長に尋ねます。

「その事故、俺とソイツが会った直後くらいだろ。周りに誰もいないと思ってたけど確証はないし、2人っきりで話してるのを見られてたのかもしれねえ」

会長とも副会長とも2人きりになった事があるので、どちらが原因かハッキリと断言はできません。
でも確かにタイミングからいって、会長の方が可能性は高いですよね。

「話をするだけなら僕にも覚えがあるけど、いくら何でもそれだけで傷害まがいの事件を起こすかな。生徒会の親衛隊には確かに過激な隊員もいるけれど、それくらいの分別はあるはずだ」

あ、そうなのですか。
やっぱりちょっと近付いただけで制裁なんて、漫画や小説だけの話なのですね。

と感心している場合じゃありません。
暴力事件になるには余程の事がないとという事ですよね。
そしてその『余程のこと』に、心当たりがあるような気がします。

「あー……」

同じ事に思ったのか、会長は気まずそうな顔で僕を伺っていました。

「話してただけじゃないって事ですか…?」

誰もが思っていたであろう疑問を口にしたのは、コーヒーを配膳し終えた由比くんです。
案外ズバリと聞いてしまうタイプなのですね……。

「光輝」

副会長が名前を呼ぶと、会長は観念したようなため息を吐きました。

「セフレに誘った。んでちょこっと抱き寄せた」

「な…っ!」

大きく反応したのは副会長と寮長、プラス陽一さんです。

陽一さん、陽一さん。
そんな期待に満ち溢れた目で見ないで下さい……。

何を考えているのかはわかります。
リアルBL萌えですよねわかります。
僕だって、他人事ならきっとそういう反応をしていました。

「悪かったよ。コイツが玲のお気に入りだってのはわかってたんだけど、あんまりにも可愛い顔して見つめてくるもんだから、ちょっと出来心がだな」

「出来心で済ませる気か。良平くんみたいに真面目な子に、よりにもよってセフレだと?」

「お前がそんなに軽薄な奴だとは知らなかった。中谷によからぬ関係を持ち掛けるなんて、天城は生徒の代表である自覚があるのか!」

怒りをあらわにした副会長と寮長は、絶妙と言えるコンビネーションで会長を叱責しています。

「だから悪かったって。っつか何で駒沢まで一緒になって責めてくんだよ」

かなり困惑状態になっているのに、陽一さんがさらなる爆弾を投下をしました。

「駒沢寮長は親衛隊ないんですか? 怪我した時一緒に居たのは寮長だし、手を繋いだりしてませんでした?」

「………っ!」

僕と寮長は、全く同じタイミングで息を飲んでいました。


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