腐った男子です。

□見学、親衛隊
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手を繋いだどころか抱き締められたりもしたのですが、それがバレたら何を言われてしまうでしょうか。

「お、俺のところは親衛隊と言ってもかなり小規模で…っ」

寮長はフォローするように説明を始めますが、口調がたどたどしすぎます。
これでは何かありましたと言っているようなものですが、フォローすらできない僕は、ただ成り行きを見守る事しかできません。

「親衛隊がある事には変わりねえだろ。っつかお前のところは小さい分、俺達のとこみたいなミーハー隊員はいない。ガチだよ、ガチ。そっちのほうが危ないんじゃねえのか」

「今までは大人しかったから監査対象には入ってなかったけど、1度活動内容の調査をするべきか…」

会長、副会長にたたみ掛けられて、寮長はすっかり肩身が狭くなってしまったようです。

そんな事には一切構わず、陽一さんはさらなる爆弾を投じました。

「あと五十嵐先輩って親衛隊あったりしません? 良平、五十嵐先輩におんぶされた事あるんですけど、それは関係ない?」

この発言に反応したのは、生徒会長と副会長です。

「五十嵐!? お前、アイツと親交あるのか!?」

「何でそんな危険な相手と……! 彼そのものも要注意人物だけど、彼の親衛隊はそれこそ学園一タチが悪いのに!」

今日って確か事情聴取なんですよね。
どうしてこんなに責められているのでしょうか。

それにしても楽しそうですね、陽一さん。


あぁ、でもどうしましょう。
かなり気まずいです。

だってーーー、


「親衛隊持ち4人相手に心当たりがあるって、魔性のオトコって感じだな、良平」

あああぁぁぁ!
思っていても言わないで下さい…っ!

じ、自分でもちょっとアレだと思っていましたから!
だから追い打ちを掛けないで下さい〜!

「典型的な巻き込まれ脇役受け。しかも腐男子受け。ウォッチングするどころの騒ぎじゃないよな、当事者じゃ」

「……何言ってんだ?」

陽一さんの発言に首を傾げる会長は、言葉の意味が全くわからなかったようです。
それは副会長と寮長も同じで、キョトンとしていました。

お願いですから、追求しないで下さい……!

「……とにかく、原因が絞れない以上、警戒するより他に手はないな。ここにいる3人は、自分の親衛隊の管理体制を厳しくするように努めよう」

気を取り直してそうまとめた副会長は、いろいろと書き込んだ書類をクリアファイルに挟み、ふぅと息を吐き出しました。

「良平くんはくれぐれも危ない場所に近付かない事。単独行動も控えるように」

「はい」

「いい返事だね。じゃあ事情聴取はこれで終わりだよ」

どこか張り詰めていた空気が、その一言でようやく緩んだ気がしました。
自分で思っていた以上に、緊張していたのかもしれません。


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