腐った男子です。

□見学、親衛隊
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由比くんが可愛いくて、お2人が仲良くなれそうで嬉しくて。
キラキラした目で眺めていると、副会長がチラリと僕を見ました。

バッチリ合った視線には、問うような色が浮かんでいます。
由比くんに対する歩み寄りが間違っていないか、僕に確認をしているようでした。

可愛く恥らう由比くんを見ればわかりそうなものですが、副会長は不器用そうですからね。
にっこり笑って頷いて見せると、ようやく安心したような吐息を吐き出していました。

「……帰るぞ、玲」

蚊帳の外で面白くなかったのか、不機嫌なままの会長が副会長を促します。

「あぁ。じゃあ失礼するよ」

「じゃあ俺もお暇しよう。何かあったら気軽に呼んでくれ」

副会長に続いて寮長も立ち上がり、3人一緒に扉へ向かいます。
お見送りをする為に僕も扉へ向かい、扉を開けた時でした。


「あ、中谷ー。そっちに市川行って……」

扉のすぐ外にいた人物が、ピシリと固まりました。


……これ、マズくないですか。

だって開け放たれた扉の内側に、会長、副会長、寮長がいるのですから。

「え…? は、え……!?」

困惑して立ち尽くしているその人物は、陽一さんのルームメイトさんでした。
クラスも隣の隣人で、持ち上がり組の一般生徒です。

「な、何で? え? え!?」

双方固まって動けない状態でしたが、陽一さんが彼の首根っこを掴み、部屋の中へと引きずり込みました。

「ちゃんと説明するから騒ぐなよ。寮長達は今の内にどうぞ」

呆然とするルームメイトさんを横目で見つつも、3人は足早に部屋を後にしました。

後に残されたルームメイトさん。
お名前は畑田 剛志(ハタダ ツヨシ)くんといいます。

そう言えば隣の部屋なのに、まともに会話をした事がありません。

内部進学組の方で陽一さんいわく、学園での生活が長い分、かなりのミーハーだそうです。
それでも誰かの親衛隊に所属する事はなく、至って一般的な生徒なのだとか。

だからなのでしょうか。
普段は間近で接する機会のない生徒会長達がいた事に驚き、信じられないような面持ちで目を白黒させていました。

「とりあえず説明するけど、あの3人は仕事しに来ただけだから。変な噂流したりするなよ」

「え? あ、あぁ、昨日寮長と中谷が怪我したやつ?」

「そう。もし噂になったりしたら、お前が寝坊しても起こしてやらないから」

「ええぇ!? それリアルに困るっ!」

気安い会話と慌てる畑田くんの様子が面白くて、いけないと思いつつもクスクス笑ってしまいます。
由比くんを見れば彼も笑っていて、目が合うと余計に面白くなってしまいました。


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