腐った男子です。

□見学、親衛隊
9ページ/13ページ


「単刀直入に聞くけど、会長様にちょっかいを掛けられてるというのは本当?」

3人の中でも1番可憐な見た目の3年生、川原先輩は、早々に本題を持ち出しました。

「いえ、あの」

「球技大会の日に君が会長様と一緒だったのを目撃した生徒がいるの。正直に答えて」

正直に、セフレに誘われたと言わなければならないのでしょうか…?

「ええと、特別棟に近付いた僕を止めて下さって、少しだけお話はしました。けど…」

「それだけ?」

「ええと……」

「セフレに誘われたりはしなかった?」

直球でされた質問に、思わず息を飲んでいました。
そんな僕の反応で、答えるまでもなくバレてしまったようです。

と言うよりですね。
こんなにすぐ『セフレに誘った』という質問が出て来るなんて、会長の下半身事情はどうなっているのですか。
どなたでも気軽に誘うのでしょうか。

それはそれで王道らしいと思うのですが、実在する身近な人物だと複雑な気分になりますね。

「それで君はどうしたの? もちろんお受けしたよね?」

それが当たり前かのように言われて驚きました。

「いえ、きちんとお断り…、」

「はぁぁ!?」

「断ったの!?」

「何で!?」

こ、怖いです!
どうして怒っていらっしゃるんですか!?

「あ、あの。僕は同性と恋愛できる質ではなくて…」

実は女の子と恋愛した事もないのですが、それはこの際置いておきます。

「しっんじらんない! 会長様からお声が掛かったのに断るなんて…!」

「同性がダメでも会長様が相手ならイケるでしょ!?」

その断言はちょっとどうかと思うのですが。

予想外の責め方をされ、お3方の目的がわからなくなってきました。
てっきり『凡人は会長様に近寄らないで』系の警告をされるものだとばかり思っていたのですが、それならお断りした事を責められるのは変ですよね。

「あ、あの、すみません。一体どのようなご用件で……」

僕の質問で我に返った川原先輩は、咳払いをしてから信じられないような事を言いました。

「会長様親衛隊に勧誘しに来たんだけど」


…………。


「えぇぇぇぇ!?」

何故そうなるのですか!?

「会長のセフレになった生徒は、例外なく親衛隊に所属する事になってるの。その方が行動も管理できるし、やっかみを逸らす為の防衛にもなるから」

それはわかるような、わからないような。
いえ、わかりません。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ