腐った男子です。
□見学、親衛隊
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「あ、お名前も素敵ですよね。天の城で光り輝く」
こんな大仰な名前で、名前負けしないなんて。
それだけでも凄いと思うのです。
その後も思い付く限り会長の事を褒め、いよいよネタ切れしそうになった頃。
「……何でそこまで言えるのにセフレ断るの……?」
白石先輩が心底不可解そうな顔で、そう言いました。
だって、憧れ(僕の場合、萌えですが)と恋愛感情は別物ですよ。
王道俺様生徒会長に対する萌えは限りなくありますが、恋人になりたいなどとは思いません。
僕としては、可愛い受けの方とイチャイチャして頂く事が、何よりも望んでいる事なのです。
「……中谷 良平」
他のお2人方とは違い、真剣な顔をした川原先輩。
僕の処遇を決めた。
そんな顔です。
真面目な顔をした川原先輩に、僕も表情を引き締めました。
これからの腐男子生活を大きく左右する、そんな場面なのですから。
「君の想いはよくわかった。あくまで憧憬の対象で、恋愛感情はないんだね?」
「はい」
「……いいでしょう。君の親衛隊入隊を許可します」
……………………あれ?
「え、あの、僕はただ見学を……」
「そこまで会長様の事を理解しておきながら、見学だけでいいなんて嘘でしょ? その控え目さも姿勢も、ただのミーハー隊員が多い会長様親衛隊において、かなり貴重な存在だと言えるの」
「え、えーと…」
「僕は君のような人材を待ってた。陰日向となって会長様を助け、敬い、お力になるのが務めだと心から言えるような隊員を」
何だかとても過大評価をされてしまったようです。
そして川原先輩の目がキラキラしています。
とても可愛いのですが、誤解されていますよね、これ。
親衛隊に入隊したいわけではありませんなどと、言える雰囲気ではなさそうです。
そんな事を言えば、せっかく僕に持ってもらった好感をなくし、見学もままならなくなるでしょう。
それなら今はとりあえず受け流し、見学後に『やはり荷が重く、入隊は辞退させて下さい』と言えば、何とかならないでしょうか。
そう考えた僕は陽一さん達に一言断ってから、親衛隊の本部(空き教室)に見学へ行く事となりました。
「と言うわけで、見学希望の中谷 良平くんです。みんなよろしく」
川原先輩が僕を紹介した後、パラパラとまばらな拍手が響きます。
あまり歓迎されていないのが空気でわかり、少し早まった事をしてしまった気分です。
僕を勧誘する事は隊員さんなら知っていそうですし、セフレに誘われたというのが周知の話なら、それも当然ですよね。
「とりあえず今日の活動内容は親衛隊員だけでお茶会だから。あまり緊張しないでいいよ。今日は人数も少ないし」
教室の中にいたのは、20人くらいでした。
これで少ないなら、全員揃うと何人くらいになるのでしょうか。