腐った男子です。

□再会、社会科室
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お茶の蒸らしも済んだ頃、浴室の方から物音が聞こえてきました。
ずいぶん早かったですが、もう上がったのでしょうか。

視線を浴室の出入り口へと向けたその時、

「悪い、お待たせ!」

「………っ!!!」

ひ、ひゃあああぁぁぁぁ!?

「中谷?」

そこには水もしたたるイイ男状態の、上半身裸の寮長が!
湯上りホカホカの身体にスウェットだけを身に付け、肩からタオルを引っ掛けただけの寮長が!

凄いです!
さすがスポーツ推薦です!

腹筋が割れていますよ!
その腹筋のラインを流れる、拭いきれていない水滴が、


ハッキリ言って、エロかっこいいですぅぅ……!


なんという肉体美なのでしょう。
漫画ではよく見る筋肉質な身体なのですが、実際に目の当たりにする機会なんてそうそうありません。
何せ自分自身はとっても貧弱な身体ですから。

寮長の体格がいい事はわかりきっていましたが、服を着た状態かそうでないかで、ここまで印象って変わるものなのですね。
爽やかスポーツ青年の雰囲気を保ちつつも、どこかワイルドで、さらに淫靡さも感じさせます。

あぁ、でも本当に綺麗な筋肉ですね。
陸上競技だからなのか、無駄のない筋肉を蓄えた身体は、おそらく体脂肪率一桁代だと思われ、よく焼けた肌の健康的な魅力をたたえながらもーーー、

「中谷……?」


………ハッ!?
ぼ、僕は今、何を……?

「す、すみません……!」

同性とはいえ、惜しげもなく晒されているからとはいえ、人様の裸体(半)をマジマジと見てしまうなんて…!
も、もしかして僕は今、視姦というものをしてしまったのでしょうか?

痴漢です。
これはれっきとした痴漢行為です。

愕然としてしまいました。
僕は腐男子ですが、まさか生身の殿方に痴漢行為を働くほど、BLに毒されていたのでしょうか。

申し訳ない気持ちになりつつも、頬が熱くなっているのがわかりました。

だって、恥ずかしいです。
いっそ埋まってしまいたいほどです。

勝手に恐縮しまくる僕に、寮長はいつも通りの様子で言いました。

「いや、こっちこそ。せっかく来てくれたのに待たせてすまない」

驚いて寮長の顔を見上げてしまいます。

あ、あれ……?
全く気にしてない……?

と言うより、気付いてない?
僕の気にし過ぎですか…?

「お茶、煎れてくれたんだな。ありがとう」

爽やかに微笑みながらそう言われ、疑念は確信へ変わりました。
大層な言い方をしましたが、要するに気付かれてないです、良かったぁ! と言う事です。


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